モチベーション(ビジネスサプリメント595号)
最近モチベーションという言葉がよく使われるが、私も講演会のタイトルに「気づきからモチベーションが高まる」と題することが多い。モチベーションとは簡単に言えば「やる気」や「意欲」なのだ。
本屋に行けばモチベーションに関する本が沢山並んでいるが、ダニエル・ピンク著の「モチベーション3.0~持続する<やる気!>をいかに引き出すか~」が目についた。創造性を破壊するような時代遅れの成果主義よりも、人を動かす「モチベーション3.0」のようなワクワクする自発的な動機づけが大切とあった。モチベーション1.0は人間の生存目的で生物学的な動機づけ、モチベーション2.0は信賞必罰に基づくアメとムチを中心に構築された外的な動機づけ、モチベーション3.0は学びたい、創造したい、世の中をもっと良くしたいという内面から湧き出てきて、自律性、上達、目的を柱とする内発的モチベーションとあった。
前職の海外ブランド担当の女性チーフの話を思い出した。彼女は何よりも「お客様のために」が強い販売員で良い商品をご提案することが生きがいのような人だった。ある時海外に商品買い付けに行くことになったが、自分の好みやセンスで選ぶのではなく、買い付ける時はお客様の名前を想定し、この商品はAさん、この商品はBさんと売り先を決めて買い付けをするらしい。お客様の箪笥の中身まで把握しているのである。買い付けた商品が日本に届くと、早速それぞれのお客様にアプローチして、お客様からは「ありがとう、私のために!」と言っていただけることが心から嬉しかったのだ。まさにモチベーション3.0そのものではないだろうか。
本にはアンダーマイニング効果という言葉があり、内発的に動機づけられた行為に対して、報酬を与えるなど外発的動機づけを行うことによって、モチベーションが低減するとある。例えば好きでプレイしていたゲームのクリアに金銭的な報酬を与えられると、やる気がなくなってしまう、そして報酬がもらえるという期待がないと学習しなくなる可能性があると述べられてあった。
前職の彼女に報酬を与えても真の動機づけにはならなかっただろう。そう!ハーズバーグの衛生要因ではないが報酬などは不満足の減少につながり、やる気というものは満足の増加につながるものだ。成果主義が頭打ちの時代、あまり難しく考えずに「ワイワイ言える職場」の中からモチベーション3.0の人財を増やしていかなければいけないように感じる。
2014/12/01 09:19 | パーマリンク