人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2011年2月20日

何を言ったか(ビジネスサプリメント452号)

「星野リゾートの教科書」の続編であるが、社員には「任せる」から「自分で動く」

と言うようにしていると書かれていた。星野リゾートは社員のヤル気を引き出すため

に、経営データーを開示し、仕事を任せる、メンバーが自らの判断で行動するように

求め、社員の自由な発言を大切にし、「誰が言ったか」ではなく「何を言ったか」を

重視されている。ある大規模な旅館の再生を託された時、そこで働くメンバーは

「上から言われたことしか動かない」状態だったのを「自分で動く」ように変身させ、

顧客満足度を引き上げ、売上高を伸ばしていると言う。時にはトップダウンも必要

だろうが、星野リゾートは「自分の判断で行動してもらうことで、社員のヤル気を

醸成し、言いたいことを、言いたい時に、言いたい人に伝える」ことに徹したので

ある。その根底にあるのは社員が辞める理由の多くは「組織に対する不満」であり、

トップダウンで改革を進めていくだけでは、社員は命じられたことに疲れ、不満を

募らせると言う。まさに組織のジャストインタイム(トヨタの必要なものを、必要

な時に、必要なだけ生産するシステム)を実践に移されたのである。

「気楽にまじめな話が出来る職場」が生産性を上げ、従業員満足を高めるのは言う

までもない。言ったものが損をする、言ったことが必ず否定される、言ったが何の

返事もない組織では、 見ざる・言わざる・聞かざる の組織になってしまい衰退

する道しかない。組織の長はコンセプトを決めて目指す方向を示し、メンバーと

気持ちを一つにしなければならない、即ちベクトルを合わせることありきであり、

コンセプトがないと目指す方向が分からず、メンバーの気持ちはバラバラとなる。

また誰が言ったのかではなく「何を言ったのか」が大切であり、言う人は

「○○であり、このように考えます」とはっきり言えなくてはならない。組織の改革

や変革は各自が「そうだ!」と気づくことから始めなければ、押し付でものを言わ

せても何の意味もないであろう。やはり「自分が」が主語になり、主体性を持った

メンバーの「気づき」が組織の未来を拓くと確信する。

2011/02/20 07:45 |

2011年2月10日

ワン・ツー・ワン・マーケッテング(ビジネスサプリメント451号)

今大きく業績を伸ばされている星野リゾートの「星野リゾートの教科書」―サービス

と利益 両立の法則―を読んだ。長野県軽井沢町の「星のや軽井沢」は星野リゾー

ト屈指の高級旅館である。水路が流れる緑豊かな敷地内に77室の離れ風の客室が

点在しているらしい。「星のや」はハードだけではなく、ソフトでも顧客満足度の

向上を追求している。本に書かれていたが、お客様1人ひとりに合わせて「気配り」

「おもてなし」を高度化する仕組みを取り入れリピーターが来られるたびに、個々

の要望に合わせたきめ細かいサービスを提供するのである。実例として、お客様が

「星のや」を最初に訪問された時、客室にシャンパンを持ち込まれたとすると、

それに気づいたスタッフはお客様に頼まれなくても、すぐにシャンパンクーラーを

用意して、お部屋に届ける。この情報はお客様が再び訪れた時に確実に生かされて、

最初からお部屋にさりげなくシャンパンクーラーを用意しておき、お客様は持ち込

まれたシャンパンをすぐに冷やして楽しむことが出来るのである。全てワン・ツー・

ワン・マーケティングに基づいて運営されているらしい。

そう言えばある一流ホテルではお客様のお好みを全て把握して対応している話を

思い出した。あるお客様がホテルに来られると、ドアマンの方はお客様のお名前や

お車のナンバーを全て頭に入れられて、気持ち良く「○○さま いらっしゃいませ」

とご挨拶から始まり、お客様のお好みの新聞や枕の高さ、タオルの枚数まで把握

して、ご家庭よりも落ち着いた雰囲気を作るらしい。

前職でもある海外ブランドのベテラン販売員は商品の仕入れに行く時、メーカーの

言いなりではなく、お客様のお好みを全て頭の中に入れ込んで、一点いってんを

どのお客様にお勧めするのかを考えて仕入れるのだ。商品が入荷されれば即お客様

にご連絡し、ご来店いただき何故この商品をお勧めするのかをお話すると、90%の

お客様はお求めになったことがあった。真のサービスはデジタルデーターだけでは

読み切れない、手間がかかったとしても、スタッフがお顔を合わせアナログでない

と実現できないかも知れない。

2011/02/10 09:07 |

2011年2月 1日

就活を考える(ビジネスサプリメント450号)

昨年の12月1日時点で新卒就職内定率が調査以来最低の68.8%に下落したそうだ。

「就職超氷河期」と言われる深刻な雇用情勢の中、内定を得られない就職活動中

の大学生らが自信を失ったり、うつ状態に陥ったりして専門家のカウンセリング

を受けることが多くなったようだ。

TVで紹介されていたある学生は100社以上の試験を受け1社も内定がないとうでは

ないか。このような状態が続くと自分の生き方や人格まで否定されているような

気持にもなる。朝日新聞の記事には「お前は社会に必要ないよ」と毎日違う誰か

に言われているような感覚になってしまうと掲載されていたし、本人のヤル気を

そぎ、ますます負のスパイラルに陥ってしまう。業界に偏りがないだろうか?

大企業ばかりを狙っていないだろうか?自分の長所を見失っていないだろうか?

もう一度自己分析をすべきである。そうするとまた朝日新聞に「ビジュアルで先制」

―エントリー顔写真撮影、男子向け化粧人気―と言う記事があった。「新卒での

就活は一生に一度のチャンス、出来るだけ好印象な写真を取って欲しい」とのこと

でメークを施してから顔写真を撮影してくれる写真館がにぎわっているそうだ。

「さわやかな感じに」と要望すると、美容師が薄かった眉毛を描きたし目の印象を

強くし、ほお紅を塗り顔の立体感を演出し、スーツに合うように髪型を短く切り整

える、男子学生は「これで就活を戦える」と自信を持ったとか、見た感じだろうか?

中身の問題がどこかへ飛んでしまっている。まさに異常としか言いようのない世界

ではないか。100年に一度の大不況も影響し、各企業がのきなみ採用を控えている

現状や、「プレストン効果」と言う少子高齢化に伴い、高齢者が優遇され、若者が

不利な立場に置かれていることもあるだろう。我々の頃は4回生の5月頃から就職試験

が始まり、最初に内定をしたところがあれば、もうそれ以上は就職試験を受けられ

ないと言う仕組みだった。就職活動の早期化・長期化も学生を追い詰めている背景

になってはいないだろうか。今一度大きな社会問題として考える時期に来ている。

2011/02/01 09:17 |

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