ワン・ツー・ワン・マーケッテング(ビジネスサプリメント451号)
今大きく業績を伸ばされている星野リゾートの「星野リゾートの教科書」―サービス
と利益 両立の法則―を読んだ。長野県軽井沢町の「星のや軽井沢」は星野リゾー
ト屈指の高級旅館である。水路が流れる緑豊かな敷地内に77室の離れ風の客室が
点在しているらしい。「星のや」はハードだけではなく、ソフトでも顧客満足度の
向上を追求している。本に書かれていたが、お客様1人ひとりに合わせて「気配り」
「おもてなし」を高度化する仕組みを取り入れリピーターが来られるたびに、個々
の要望に合わせたきめ細かいサービスを提供するのである。実例として、お客様が
「星のや」を最初に訪問された時、客室にシャンパンを持ち込まれたとすると、
それに気づいたスタッフはお客様に頼まれなくても、すぐにシャンパンクーラーを
用意して、お部屋に届ける。この情報はお客様が再び訪れた時に確実に生かされて、
最初からお部屋にさりげなくシャンパンクーラーを用意しておき、お客様は持ち込
まれたシャンパンをすぐに冷やして楽しむことが出来るのである。全てワン・ツー・
ワン・マーケティングに基づいて運営されているらしい。
そう言えばある一流ホテルではお客様のお好みを全て把握して対応している話を
思い出した。あるお客様がホテルに来られると、ドアマンの方はお客様のお名前や
お車のナンバーを全て頭に入れられて、気持ち良く「○○さま いらっしゃいませ」
とご挨拶から始まり、お客様のお好みの新聞や枕の高さ、タオルの枚数まで把握
して、ご家庭よりも落ち着いた雰囲気を作るらしい。
前職でもある海外ブランドのベテラン販売員は商品の仕入れに行く時、メーカーの
言いなりではなく、お客様のお好みを全て頭の中に入れ込んで、一点いってんを
どのお客様にお勧めするのかを考えて仕入れるのだ。商品が入荷されれば即お客様
にご連絡し、ご来店いただき何故この商品をお勧めするのかをお話すると、90%の
お客様はお求めになったことがあった。真のサービスはデジタルデーターだけでは
読み切れない、手間がかかったとしても、スタッフがお顔を合わせアナログでない
と実現できないかも知れない。
2011/02/10 09:07