人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2011年2月 1日

就活を考える(ビジネスサプリメント450号)

昨年の12月1日時点で新卒就職内定率が調査以来最低の68.8%に下落したそうだ。

「就職超氷河期」と言われる深刻な雇用情勢の中、内定を得られない就職活動中

の大学生らが自信を失ったり、うつ状態に陥ったりして専門家のカウンセリング

を受けることが多くなったようだ。

TVで紹介されていたある学生は100社以上の試験を受け1社も内定がないとうでは

ないか。このような状態が続くと自分の生き方や人格まで否定されているような

気持にもなる。朝日新聞の記事には「お前は社会に必要ないよ」と毎日違う誰か

に言われているような感覚になってしまうと掲載されていたし、本人のヤル気を

そぎ、ますます負のスパイラルに陥ってしまう。業界に偏りがないだろうか?

大企業ばかりを狙っていないだろうか?自分の長所を見失っていないだろうか?

もう一度自己分析をすべきである。そうするとまた朝日新聞に「ビジュアルで先制」

―エントリー顔写真撮影、男子向け化粧人気―と言う記事があった。「新卒での

就活は一生に一度のチャンス、出来るだけ好印象な写真を取って欲しい」とのこと

でメークを施してから顔写真を撮影してくれる写真館がにぎわっているそうだ。

「さわやかな感じに」と要望すると、美容師が薄かった眉毛を描きたし目の印象を

強くし、ほお紅を塗り顔の立体感を演出し、スーツに合うように髪型を短く切り整

える、男子学生は「これで就活を戦える」と自信を持ったとか、見た感じだろうか?

中身の問題がどこかへ飛んでしまっている。まさに異常としか言いようのない世界

ではないか。100年に一度の大不況も影響し、各企業がのきなみ採用を控えている

現状や、「プレストン効果」と言う少子高齢化に伴い、高齢者が優遇され、若者が

不利な立場に置かれていることもあるだろう。我々の頃は4回生の5月頃から就職試験

が始まり、最初に内定をしたところがあれば、もうそれ以上は就職試験を受けられ

ないと言う仕組みだった。就職活動の早期化・長期化も学生を追い詰めている背景

になってはいないだろうか。今一度大きな社会問題として考える時期に来ている。

2011/02/01 09:17

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