人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2011年6月20日

ディズニーの凄さ(ビジネスサプリメント466号)

ディズニーランドのお客様意識についての実話は前職時代にも何回も聞いたこと

があるが、今回の東日本大震災時におけるスタッフの行動は素晴らしいものだと

再認識した。もちろんマニュアルに忠実であると共に「自分達で組織の理念を理解

し自分で考え判断できる強さ」にあった。ディズニーランドの理念は「全てのお客

様にハピネスを提供する」と言うものらしい。その根底はスタッフ(同社では

キャストと呼んでいる)に「自由に考え行動できる裁量を与える」というものだ。

そうは言ってもキャストの約9割は学生を中心としたアルバイトであり、彼ら彼女

らが現場を支えている。東日本大震災時に園内には約7万人のお客様(同社では

ゲストと呼んでいる)がおられた、キャストは約1万人、大きな揺れ当然パニック

状態になっても不思議ではない状況下だった。噴水に溜まった水は撒き散らされ、

アトラクションは全て中断、その時通常行わない園内アナウンスが瞬時に流れ、

キャストはゲストをアトラクションの外に全員誘導する(ここまではマニュアル

通りなのだ)。そしてキャスト達自身もパニックを起こさず持ち場のゲストに対

して冷静ではっきりと分かりやすい指示を出したと言う。「頭を守ってその場に

お座り下さい!」などの的確な指示を出し、あるスタッフは店舗販売用のお菓子を

配り始めたと言うではないか、上からの指示ではなく、現場の判断なのだ。また

ゲストには見せてはいけないバックヤードが非難通路となったようだ。

TDLの行動指針はSCSA(安全性=Safety)(礼儀正しさ=Courtesy)(ショー=

Show)(効率=Efficiency)の4つであり優先度の高い順である、これが単なる唱和

レベルに終わらず現場のキャストに「現場言葉や現場実践」で伝わっていることが

何よりも素晴らしい。マニュアルの事態を超えた状況においても、現場が考え自主

判断に任せた組織運用が出来ることが凄いと思う。その後の帰宅出来ないゲストの

方々の対応も素晴らしいものがあったようだ。TDLのように9割のアルバイトでも

社員以上の行動が瞬時に起こせる組織は日本にどれだけあるのか考えさせられる。

2011/06/20 06:54 |

2011年6月10日

あるお手紙(ビジネスサプリメント465号)

あの未曾有の東日本大震災から約2ヶ月過ぎに、以前講演させていただいた東北

地方のある企業のご担当の方にお見舞いのメールを差し上げた。すぐにご連絡す

べきだったがかえってご迷惑をおかけするし、落ち着かれたころと思い遅れてし

まったのである。メール返信があるかと心配をしていたが、何と便箋4枚にわた

るご丁寧なお手紙を頂戴した。そこにはご自分を含めご家族はご無事だったが社

員の方々やそのご家族が犠牲になられたとのこと、すさまじい被害状況、また全

国各地から温かいお見舞いや励ましの言葉に対しての感謝、そして被災地の復旧・

復興に全力でお取り組みをされている旨の熱い思いがこもっていた。凄いお手紙

をいただきびっくりしたのである。メールで差し上げた自分自身が恥ずかしくな

った、そう肉筆で書かれたものがどれだけ温かいものかを改めて感じたのである。

私は失職後IT会社に再就職したが、その時私だけはまだ消しゴムを使っていたが、

最期は消しゴムが消えてしまったことが思いかえされる。今はパソコンにおされ

て手書き文化は何か消えそうな世の中ではないだろうか。最近は私も漢字の読む力

はまだあるが、書く力の無さに悩んでいる。友人が「写経」をしていると聞いたこ

とがある、「写経」とは仏教において経典を書き写すことである。その時にいろい

ろな思いや気持ちの整理、自分なりの意味の解釈が出来るのであろう。先日朝日新

聞の天声人語欄に多くの方々が「筆写」されている記事が掲載されていた。専用の

書き写しノートがあるらしく好評とのこと。文字を書き写す時間には豊な静謐<せ

いひつ>(辞書によると事件がなくて穏やかな様子とある)があるように思うと記

載されていた。キーボードでは得られない「手と心」の一体感があるともあった。

そう昔は職場の仲間の肉筆を見て誰が書いたのかはすぐに分かった時代があったが、

今の職場は如何なのだろう。私もメールに頼りきっている自分に気づき、もっと筆

まめにならなければいけないと思うお手紙をいただいたのである。

2011/06/10 06:59 |

2011年6月 1日

サラリーマン川柳(ビジネスサプリメント464号)

先日第一生命保険が第24回サラリーマン川柳コンクールの人気投票作を発表した。

1位は「久しぶり~名が出ないままじゃーまたね~」だった。そうあるある!歳を

重ねるたびに経験することが多い、TVを見ていてあるタレントが出てきても名前

が出てこない。「あの人誰だったかなぁ?」と思うことがしばしばあり、しばら

くして「○○さんだ!」と気が付くことが多いのだ。若い頃は新入社員の数百名を

10日間ぐらいで完全に覚えていたものだが、最近名前が思い出せない歯がゆさを

感じることが多く、なるほどと感心したのである。2位は「クレームも社員じゃわ

からんパート出せ」だそうだ。クレーム対処の講演をすることが多いがこれには

びっくり、昔は「責任者出て来い!」だったが、非正規雇用の方々が増えてきた

傾向を反映しているのだろうか。でも現実は「現場を一番良く理解されているのは、

現場で働く方々なのだ」、その声を良く聴きカイゼン活動に反映しなければならな

い、現場が分からずして机上論や一般論をかざしても何の意味もなく成果には結び

つかない。ご支援しているある製造業では数百名のパートの方々から「気づきてい

あん」を募集し、年2回優秀賞を決めてそのていあんを実践に移されている。もち

ろんパートの方々のモチベーションも高く生産性も向上している。続いて3位は非

正規雇用時代の流れか「何になる?子供の答えは正社員」、これには少し驚いた。

夢がないし、希望が見えない世相を反映しているのだろうが少し寂しい気がする。

時代は人件費の変動費化が進んでいるが、人は「モノ」ではないし資源であり、

コストとして捉えたくはない、ましてや雇用の調整弁ではヤル気も出てこないの

ではないだろうか。最近は新卒で就職出来ない方々を集めての研修会が多く、

講師として招かれることが多いが、私は54歳で無職になった、その期間は「人生

の踊り場=自分を見つめなおし、次へのスタートに備える時」と捉え、「あわてず

・あせらず・あきらめず」とお話している。最後に「最近は ケーターイ無いと

 字が書けず」があったが、私も「辞書を見ず 漢字変換 頼りすぎ」の毎日で

ある。

2011/06/01 07:10 |

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