人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

« 2009年8月 | メイン | 2009年10月 »

2009年9月27日

組織の現実(ビジネスサプリメント386号)

人が集まる組織にはさまざまな能力を持った人がいる。よく言われる

2:6:2の法則を考えて見よう。10人の組織メンバーがいると優秀な

人が2人、普通の人が6人、ダメな人が2人になると言われている。

あるセミナーの時「全員優秀にするためにはどのようにすれば良いのか?」

と言う誠に厳しいご質問を受けた。そんな理想的な組織などあり得ないと

思ったが「あなたは何を基準に2:6:2に分けているのですか?そして6と

思っている人達の中にも2に近い人はいませんか?その人達をまず優秀な2に

育成していきましょう」とお答えしたことを思い出した。

しかしこの考え方は必ずしも正解とは言えないと思う。組織と言うものはどんな

ことをしてもまた2:6:2の形になってしまうものなのだ。組織は優秀な人だけ

で成長するものではないだろう。ポイントは組織内の構成員の質の高いバランス

が大切であり、そのことが組織を活性化する要素になるものだ。優秀な人も必要

だし、そうでない人も必要なのだ。組織の活性化のポイントは3つある。

1つは「ダメと決め付けないこと」である。必ずその人の優れている部分を

気づかせ、導くことが今のこの厳しい時代に最も求められる。ハロー効果

(1つの現象で決め付けてしまうこと)は誠に怖い。個人ヒアリングをして

いると組織内ではダメと思われていた方が、素晴らしいお考えを持っておられ

たが、どうせ言ってもムダと思い込まれているケースに出くわすことが多い。

2つ目は組織理念に対する考え方について具体的な行動で同じ方向性に向かせる

ことである。いわゆる「ベクトル合わせ」をきっちりと現場言葉で認識させて、

共感のマネジメントを実践しなければいけない。

最後は「技術の伝承」が叫ばれているが、先輩社員は「このスキルは俺のもの」

と言う狭い考えを持たないこと、要は組織内の「暗黙知」を可能な限り

「形式知」にすることである。そのことによって組織は一体化するものなのである。

成果の出る組織運営は「理論」ではなく「効果的な実践」から生まれることを忘れ

ないようにしたいものだ。

2009/09/27 07:49 |

2009年9月20日

カタカナ洪水(ビジネスサプリメント385号)

ある新聞で説明を聞いても出てこない現代カタカナ用語ランキングベスト10

が掲載されていた。正答率13%で「ダビング10」がトップになっていた。

私は最近知ったのだが「地デジ録画で1回しかメディアにコピーできないものが

10回に緩和する新しいルール」だとか。「フィルタリング」が15%で2位

だが私は知らなかった。「子供達が携帯電話やパソコンなどからインターネット

上の有害サイトに接続出来ないようにする」サービスらしい。デジタル嫌いには

なじめない言葉であり、記憶に残らないのではないのではないか。

一方かなり定着しているカタカナ用語は「クールビズ」「メタボリック」

「サブプライム」「サプリメント」などがあり、私もこのブログのタイトルを

「ビジネスサプリメント」などカタカナを使っているが「働くための栄養食品」

ではさまにならない。健康や経済に関するものはなじみやすい。

「セカンドキャリア」の講師もしているが、この言葉は素直に受け入れられる。

社会や暮らしの変化に合わせてカタカナ用語が次々と現れては消えていく。

まとめに掲載されていたが国立国語研究所によると、1956年からの約40年間

で主要な雑誌に登場する外来語の割合は9,8%から34.8%に増加、

最近10年間ほどは日本語として使われる外来語の比率自体は変わらないが、

中身はめまぐるしく入れ替わっているそうだ。カタカナ用語は何となく新鮮な

イメージがありつい使いたくなるが、「やまとことば」や漢語を上手に組み

合わせて、分かりやすくしていきたいものだ。

そうすればもっとコミュニケーションが活発になるのではないだろうか。

聞くに聞けず分ったようなふりではコミュニケーションどころではない。

但し「やまとことば」ではあるが、「100年に1度の危機」や「後期高齢者」、

カタカナ言葉の「パンデミック」などは2度と使われないようになって

欲しいものだ。

2009/09/20 06:48 |

2009年9月13日

無意識の手抜き(ビジネスサプリメント384号)

成果主義の崩壊が叫ばれて久しいが、評価と言うものは形を整えただけでは

ダメで「運用」をどのようにしているのかが大きな問題点であることは言う

までもない。その人の結果のみだけではなく「どのように結果を出したのか」

と言うプロセスが問われるのである。

リンゲルマンと言う人が「綱引き」の実験で自分の力をいかに出しているのか

を検証した話を目にした。一対一の場合は持っている力の100%を出し切る

が、八対八になるとほぼその人の力の半分ぐらいしか出さないようになると

言うものだ。そう!誰かがやるだろうと考え方が出てしまい無意識に手抜きが

起こると言う。あなたが綱引きのリーダーで20名のチームであれば

「本当に力を出し切っている人と、綱だけをつかんであまり力を入れていない人

の区別が付けられるだろうか?」。またラタネと言う人が被験者は一人なのだが、

出来る限り大きな声を出す実験をしたそうだ。被験者に目隠をし、ヘッドホンを

付けて声の大きさを測るのである。肩を一回たたく時は一人、二回たたく時は二人、

三回たたく時は三人が声を出すと思いこませるのである。そうすると一回目は

かなり大きな声が出るが人数が増えると思い込ませていると徐々に音量が落ちる

というのだ。まさに無意識に手抜きが起こっているのである。

もし組織の中でこのようなことが起こっておれば大変である。当事者意識が薄れ

成果は出にくい状況に陥るのである。

成果主義の前提は「各人の能力の出し方が万全なのかどうかの見分けが付く人が

評価者にならなければ真の運用にはならない」。タイムリーな声かけがなされ、

的確な気づきのナビゲートがなされて初めて成果主義が真のものになる。

リーダーとフォロアーがお互いに信頼関係が構築され、リーダーは「自分が責任を

持つから」と言う強い発信がなされ、トップが「社員の生活は守る」と言う強い

意思がないと軽々しく成果主義を導入しても「無意識の手抜きが」起こってしまう

怖さを感じる。

2009/09/13 07:38 |

2009年9月 6日

ハラスメントを考える(383号)

ハラスメントとは「人権を侵害するいじめ、嫌がらせ、差別」などを

言うが「セクハラ」「パワハラ」「モラハラ」など叫ばれて久しい。

先日ある研修でフランスに留学されていた方から聞いたお話であるが

「アルバイトをしていたら、ある男性が体を触るので非常に困っていた」

とのこと。現地の女性の友人に相談したら「そんな男はぶん殴れ!黙って

いるからダメなのだ」と言われたそうだ。まさかぶん殴るわけにいかず

「止めて欲しいと!」毅然とした態度でにらみつけたらぴたっと止まった

とのこと。お国柄とは言え「自分のことは自分で守るのが基本」を学んだ

と言われた。そう!あいまいにしてしまうからセクハラ・パワハラもまかり

通るのかもしれない。もちろんそのようなことが起きない風土を作ることが

ありきは言うまでもないが。恥ずかしいから黙っている、対価型(断るなら)

を恐れて黙っていてはいけない。みんなが相手に思いやりを持って接する

気持ちや、リスペクトの念を持つこと、その上で自分の言動を問われた時、

筋の通った説明が出来ないといけないのである。そんな風土からはハラス

メントは起こらない。

先日ある企業様で女性管理職の方とヒアリングをしていた時のことである。

その方は大変問題意識も旺盛で輝いておられる方だった。私が「あなたは

素晴らしいお力を発揮されている、どんどん女性の方々の活躍の場を広げて

いかないといけないので、是非良いお手本になっていただきたい」と申し

上げた。そうすると「女性だからと言う見方はしないで欲しい、能力のある

人はどんどんと活躍の場を与えてあげて、男女関係なく公平に見て欲しい」

と言われたのである。真っ当なご意見である、言った私が恥ずかしかった。

ことほど左様に誠に難しい問題である。何がセクハラで何がパワハラを

考えることも非常に大事だがやや枝葉の感じもする、幹は「男女関係なく

信頼関係を構築し尊敬の念を忘れない」ことが最も大事ではないだろうか。

そのバランス感覚を忘れないような風土作りが急がれる。

2009/09/06 07:17 |

お問い合わせ