人が集まる組織にはさまざまな能力を持った人がいる。よく言われる
2:6:2の法則を考えて見よう。10人の組織メンバーがいると優秀な
人が2人、普通の人が6人、ダメな人が2人になると言われている。
あるセミナーの時「全員優秀にするためにはどのようにすれば良いのか?」
と言う誠に厳しいご質問を受けた。そんな理想的な組織などあり得ないと
思ったが「あなたは何を基準に2:6:2に分けているのですか?そして6と
思っている人達の中にも2に近い人はいませんか?その人達をまず優秀な2に
育成していきましょう」とお答えしたことを思い出した。
しかしこの考え方は必ずしも正解とは言えないと思う。組織と言うものはどんな
ことをしてもまた2:6:2の形になってしまうものなのだ。組織は優秀な人だけ
で成長するものではないだろう。ポイントは組織内の構成員の質の高いバランス
が大切であり、そのことが組織を活性化する要素になるものだ。優秀な人も必要
だし、そうでない人も必要なのだ。組織の活性化のポイントは3つある。
1つは「ダメと決め付けないこと」である。必ずその人の優れている部分を
気づかせ、導くことが今のこの厳しい時代に最も求められる。ハロー効果
(1つの現象で決め付けてしまうこと)は誠に怖い。個人ヒアリングをして
いると組織内ではダメと思われていた方が、素晴らしいお考えを持っておられ
たが、どうせ言ってもムダと思い込まれているケースに出くわすことが多い。
2つ目は組織理念に対する考え方について具体的な行動で同じ方向性に向かせる
ことである。いわゆる「ベクトル合わせ」をきっちりと現場言葉で認識させて、
共感のマネジメントを実践しなければいけない。
最後は「技術の伝承」が叫ばれているが、先輩社員は「このスキルは俺のもの」
と言う狭い考えを持たないこと、要は組織内の「暗黙知」を可能な限り
「形式知」にすることである。そのことによって組織は一体化するものなのである。
成果の出る組織運営は「理論」ではなく「効果的な実践」から生まれることを忘れ
ないようにしたいものだ。
2009/09/27 07:49