人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2014年4月 1日

女性目線(ビジネスサプリメント579号)

先日の日経新聞に15歳以上の人口のうち職を持たず、職探しもしていない「非労働力人口」が22年ぶりに減少したと言う記事が掲載されていた。今後ますます女性や高齢者が働く機運が出てくるが、関東のある地方で全て女性ばかりで運営している百貨店の記事を見たことがある。地方店は売り上げの伸びが厳しい状況に直面しているが、このお店は売り上げも順調に伸びているとのこと。特筆すべきところは、百貨店のお客様は8割以上が女性であり、女性目線で売り場作りをされているらしい、会議も半減し時間外もかなり減って来た様である。また商品の搬入も小口で数回に分けて行っているが、その方が効率良いとのこと、決裁事項も良いと思ったところは即日決済される。例えばホワイトデーではハンカチが良く売れる様だが、お買い上げになるのは男性ではなく主婦の方が多いそうだ。そこで主婦の販売員たちがどのようにしたら買い易いかを議論したところ、売り場を少し広くし、主婦から見て欲しいようなものを大きく展開したようだ。何と売り上げは目標額を軽くオーバーし素晴らしい成果を残せたらしい。まさにお客様の立場に立った運営が随所で見られるのだ。
そう言えば前職のある地方店で、スリッパ売り場のパートタイマーの主婦の問題意識から出た事例を思い出した。そのお店は5月に入るとスリッパが良く売れたようである。普通なら「よく売れるなぁ」で終わってしまうが、この方は引っ越しやブライダルシーズンでもないのに「何故売れるのか?」と疑問に思ったのだ。そう!問題意識を働かせたのだろう。そこで数名のお客様に何故お買い求めになるのかをお伺いして情報を集めたのである。そうするとこのお店の周辺は5月には小学校の先生の家庭訪問が集中することが判明したのだ。翌年彼女は上司と相談をして、スリッパを中心に靴ベラや玄関マットなど玄関回り商品を集めて本格的なセールを企画し、店頭でアピールして大きな成果を収めたことがあった。まさに女性目線の実践である。
今政府はアベノミクスの成長戦略の一つとして女性の活用促進を進めているが日本企業の女性管理職の割合は12年度で7%程度、欧米と比べてもまだまだ大きな開きがある。すでに多くの企業では育児休業制度や時短勤務など取り組まれているが、今こそ男性の視点から構築されてきた様々な仕組みを根本から見直し、女性が安心して働ける環境整備が急がれるのではないだろうか。

2014/04/01 08:42 |

2014年4月14日

人と組織(ビジネスサプリメント580号)

いろいろな組織の方達をヒアリングさせていただいて痛切に感じるのは「理想的な組織」あまりないということだ。例えばトップがカリスマ的リーダーシップを発揮され、メンバーはそれについていくと言うスタイルを良く見ることがある。このような組織はかなりの組織パワーが出ることが多いが、難点はメンバーが指示されないと動かない「指示待ち人間集団」になると言う弱点を持つことがある。要は言われたことを完璧に無難にしておけば良いという風土になって「自分で考える力」と言うものが醸成されないのである。「行動」はするが「考動」出来なくなってしまう、従って自分の与えられたミッションに基づいて自分なりのビジョンを立て、実践し検証していくことが出来ないので、大きく育たない。
もしトップがいなくなったらどのようになるのだろうか?カリスマ的トップはナンバー2を作らない傾向があるようだ。このスタイルは有事の時は大きな力を発揮することが多いが、かなりリスクをともなうように感じる。ナンバー2の力がある組織は強い、その様な組織は平時でも問題なく回っているからだ。また次に良く見かけるのは上位職が今までやっていた自分の仕事をそのまま持ち上がり、何でも自分でやってしまう人もある。例えが的確ではないかもしれないが、課長職に昇格したのに係長時代の仕事を持ち上がり課長と言う名前になっているケースを良く見かける。何故任せないのかと問えば「自分でやった方が早いし、仕事の充実感がある」と、「それで課長職としての役割は果たしているのか?」と問えば「忙しくてなかなか出来ない」との答えが返ってくる。管理職がこのような意識では組織崩壊は時間の問題だろうと思う。またやたらと問題を投げかけるトップも多いが、結局は結論が出ず、あいまいなままに終わってしまい、メンバーは「また言っている!」としらけてしまう組織も数多く見てきた。言ってもダメと言う、いわゆる「学習性無力感」が蔓延するのだ。組織で一番大切なことはメンバーに思い切って「任せ」、自分で考えて実践させ、検証を怠らないことだ。そのことで「人は育つ」ということを過去の経験上からも実感する。「任せる」ことは「育てる」ことにつながる。未だ減点主義の組織があるのは不思議に思う、最近大手で加点主義の評価体制に切り替えたところがあるのは大きな変化だろう。
組織は「人」と良く言われるが、今ほどメンバー各人の特性に応じた育成計画が求められている時はないのではないか。

2014/04/14 08:51 |

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