人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2014年4月14日

人と組織(ビジネスサプリメント580号)

いろいろな組織の方達をヒアリングさせていただいて痛切に感じるのは「理想的な組織」あまりないということだ。例えばトップがカリスマ的リーダーシップを発揮され、メンバーはそれについていくと言うスタイルを良く見ることがある。このような組織はかなりの組織パワーが出ることが多いが、難点はメンバーが指示されないと動かない「指示待ち人間集団」になると言う弱点を持つことがある。要は言われたことを完璧に無難にしておけば良いという風土になって「自分で考える力」と言うものが醸成されないのである。「行動」はするが「考動」出来なくなってしまう、従って自分の与えられたミッションに基づいて自分なりのビジョンを立て、実践し検証していくことが出来ないので、大きく育たない。
もしトップがいなくなったらどのようになるのだろうか?カリスマ的トップはナンバー2を作らない傾向があるようだ。このスタイルは有事の時は大きな力を発揮することが多いが、かなりリスクをともなうように感じる。ナンバー2の力がある組織は強い、その様な組織は平時でも問題なく回っているからだ。また次に良く見かけるのは上位職が今までやっていた自分の仕事をそのまま持ち上がり、何でも自分でやってしまう人もある。例えが的確ではないかもしれないが、課長職に昇格したのに係長時代の仕事を持ち上がり課長と言う名前になっているケースを良く見かける。何故任せないのかと問えば「自分でやった方が早いし、仕事の充実感がある」と、「それで課長職としての役割は果たしているのか?」と問えば「忙しくてなかなか出来ない」との答えが返ってくる。管理職がこのような意識では組織崩壊は時間の問題だろうと思う。またやたらと問題を投げかけるトップも多いが、結局は結論が出ず、あいまいなままに終わってしまい、メンバーは「また言っている!」としらけてしまう組織も数多く見てきた。言ってもダメと言う、いわゆる「学習性無力感」が蔓延するのだ。組織で一番大切なことはメンバーに思い切って「任せ」、自分で考えて実践させ、検証を怠らないことだ。そのことで「人は育つ」ということを過去の経験上からも実感する。「任せる」ことは「育てる」ことにつながる。未だ減点主義の組織があるのは不思議に思う、最近大手で加点主義の評価体制に切り替えたところがあるのは大きな変化だろう。
組織は「人」と良く言われるが、今ほどメンバー各人の特性に応じた育成計画が求められている時はないのではないか。

2014/04/14 08:51

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