人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2014年6月 1日

見ていない部分(ビジネスサプリメント583号)

最近は本当に良いニュースは少なく暗い話題が多い世の中になってしまった。しかしこの風潮に負けてはならない、今こそ意識の転換が必要ではないかと痛切に感じるこの頃である。そう思っていると、腕時計の話を思い出した。「あなたがはめておられる腕時計の文字盤12時のところにはどんな文字が入っていますか?」と問われた時、デジタル時計以外、時計を見ずに即座に答えられる人は少ないのではないだろうか。
アラビア数字の12になっているのか、長棒になっているのか、あまり見ないような記号になっているか等と迷う時が多い。毎日何回も見ているのになぜかと言うと、時刻を知りたいので時刻だけを見て、文字盤にはあまり目が向いていないのである。要は文字盤には関心がないのだ。
では買い求める時は時刻を見るだろうか?この時計は今正確に時を刻んでいるのか、なんて絶対に思わないであろう。アナログ的なアラビア数字が良いだろうか、角ばったものが良いだろうか、丸い形が良いかと考えるものである。
その時によって見方や関心の持ち方は違う、時刻だけ見てしまってその周りにあるものが見えていないことがないだろうか。我々は見ようと思えば見えるのに、見ていない部分があるかも知れない。それを見ていくことがもの凄く大切なことなのだ。
例えばあるお店の売上を見ても、今は大変厳しい状態ではあるが、数字の前年比や予算比だけを捉えてはいないだろうか。数字だけを見ているということは、時計で言えば時刻だけを見ているのと同じである。買われているお客様の買い方がどのように変わったのか、どのようなお客様がご来店になっているのか、そのお客様がどのような商品に興味を持たれているのか、そのような変化を見ていかないと本質はなかなか見えてこないものである。時刻や数字だけで一気一憂していても仕方がない。まさに迷路の中でさ迷っている状態が続くのである。気づくことが出来れば「迷路を真上から見る」ことが出来るし、意識もポジティブにすることが出来るものである。今こそ気づかなければいつまでも「ゆでガエル」になってしまう怖さを忘れてはいけない。

2014/06/01 09:47 |

2014年6月15日

指摘は直接に(ビジネスサプリメント584号)

あるところでヒアリングをしていたら、非常に気の優しそうな若手女性から「他部門の上位職の方から自部門の上司のことを長々と悪く言われた」とのこと、その言葉を聞いて何だか嫌になってしまったと言うのだ。もし自分の上司のことで気になることがあれば直接言って欲しいし、自分はそのことを言われた方に進言する勇気もなく大変落ち込んだとのことだった。
この話を聞いてまともな意見であり、その方に「あなたが正しいしその気持ちを忘れないようにして欲しい」そして多分直接言われないのは言っていることに自信もないし、気の小さい方ではないか、また言われている内容も多分好き嫌いから来るものだから無視しようと助言してあげた。そうですね!と明るい顔になられたのが印象的だった。
よくある話しである、私も随分昔に直属の上司のことをある方から「彼はダメだよ!仕事も出来ないし期待もできない、君はあの人の言うことを聞いてはだめ」と言われたことを思い出した。それを聞いてそのまま直属の上司に伝えることは出来ないし悩んだことがあった。何故上司に直接言われないのか?そう!気が小さいのである、また嫌がられたくない気持ちも先行しているし、ひょっとしたら上司を蹴落としたい輩かもしれない。直属の部下に言うとはあまりにも人間としての人格に欠けているし、聞いた方も言った人を信頼しなくなる。ただ残念なことに自分が直属の上司の後を狙っているような輩は、その意見に同調し同じ内容を膨らませて周りに言うこともあるのではないだろうか。そのような人達がいる組織は間違いなく腐っているし、言った本人は周りからは認められなくなる結末を迎えるものだ。ただ「褒める」と「指摘」については褒める時は周りに言うと倍増して本人に伝わることが多いし、指摘は直接本人に言うと効果が出るのは言うまでもない。私も出来なかったが、もし他の人から上司のことを悪く言われたら「その内容を上司に直接言ってください」と言えるような人材になりたいものだ。

2014/06/15 09:42 |

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