先日元職場の部下であった方と会食をした。その時に自分では忘れていた
エピソードを聞かされた。
まだ私が人事課長時代に多くの新入社員を採用していた時があった。
何と5泊6日の新入社員研修を2回も実施していたのである。
8人ほどのチームを20班ほど作り、10班ずつ2回実施し、必ず2年ほど
先輩の社員をリーダーにしたのである。リーダーはフォロアーがなければ
育たない、新入社員教育とリーダー教育を兼ね備えたものであった。
その時に私が10泊して必死で覚えたのは、新入社員の名前と顔であった。
10泊で約160人の名前や顔を覚えるのである。「ちょっとあなた!」
よりは「○○さん!」と呼んだ方が嬉しいに決まっている。
自分に関心を持ってもらっているという気持ちから、会社の仲間になった
と感じるものである。彼曰く私のことを見習おうとして、各人の小さな
顔写真と名前を書いたカードを持って必死で覚えようとしていたそうだ。
そうしたら私が「そんなことをしても機械的に覚えるだけ、どうして中に
入って一声かけないのか?そうでなければ真に覚えたことにはならない」と
言ったそうなのである。
彼には相当ショックな指摘であり、今でも良い教訓になっていると言われる。
全く自分ではそのようなことを言った記憶はないが、振り返ると
全く正論である。そう!私は各班に順番に入っていき「各人と話をして、
その後名前と顔を確認して覚えたのであった」、そうすると性格特性まで
見えてくる。恥ずかしながら、今は最近会った人の名前すら出てこなくなって
しまったが。オフサイトミーティングやコーチングなど職場の活性化が叫ばれて
久しい。しかし彼の話から人材育成はテクニックだけではない、少しでも
現場に入り込んでメンバーに対しての関心を持ち、同じ目線で語り合い
ナビゲートして「気づかせる」事が一番重要なことであることを再確認した。
2009/07/05 06:23