人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2009年6月28日

高齢者雇用を考える(ビジネスサプリメント373号)

いわゆる団塊の世代が次々と60歳を迎えている。拙著「団塊の転職」を

上梓したのは3年前であった。改正高年齢者雇用安定法の施行により

65歳まで継続雇用されている状況だが、この大不況でかなり条件も

厳しくなってきている。希望するから全員雇用とはなかなかいかない。

また年金の満額支給がもうすぐ65歳になろうとしているし、

その額も誠に厳しいものがある。60歳からどのようにして生きていくのか?

預金はタンスが一番の風潮があるが、以前の報道で庭に何億も埋めて誰かに

盗まれたと言う変な話も出てきた。100年に一度の危機であると言われ、

多くの企業の足元はかなり揺らいでいる。人件費圧縮が企業の最大の課題で

あり、派遣切りや早期退職募集は殆どの企業で行われている嘆かわしい状況

だが、今こそ「雇用」の重さを真剣に考えておかないといけない時であると

確信する。したがってこのような時こそ、高齢者にどのようなことを期待し

働いていただくかを考えて欲しい。現場で培ってきた技術を伝承していく

ことが大切であるが、実態は「賃金は想像を越えるほど低いし昔の部下に

使われる」ことになるのだ。後輩のやる気をそがず、本人も意気に感じて

いただく策が今ほど求められる時はない。

「健康」で「経済的にも最低限安定して」「生きがいを感じる」

3本柱の確立が急がれる。形は整ってきたように見えるが、

高齢者雇用の真の問題解決はこれからだ。

また「プレストン効果(少子高齢化社会では政界や産業界の関心が

多数派の高齢者に向かいやすく、割を食うのは少数派の若者)」

という現実問題も出てきた。

今まで培ってこられ、日本の繁栄を築いてこられた方々の出番でもあり、

若者の雇用対策も真剣に考えなければいけない複雑な社会になってきた。

自分自身も団塊の世代の1年前、今後の働き方を真剣に考えていきたい。

2009/06/28 00:01

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