先日の日経新聞にアメリカのジョンソン・エンド・ジョンソンの
株主総会の内容が掲載されていた。何とこの100年に一度の危機にでも
76年連続の増収、46年連続の増配を達成したとのことである。
1年を振り返ってCEO曰く「原則にこだわることで困難を乗り切れた」と。
原則とはまず、顧客、次に社員、その次に株主に責任を持つことであり、
この順番は企業の損益計算書そのものであるとあった。
顧客は売上高、社員は人件費、社会は税金、株主は配当金となって現れる。
以前カール・アルブレヒト著の「逆さまのピラミッド」をご紹介したことが
あったが、この精神こそがまさに「企業の原則」であることを再認識させ
られた。逆さまのピラミッドの一番上は顧客、次に社員、そして管理職と続き
一番下は経営者なのだ。
この本の帯にあったヤン・カールソンの「重要なのはただ1つ、顧客の満足
である」、マリオットの「従業員を大事にすること、そうすれば彼らもまた
顧客を大事にするだろう」、タン・フラムの「コスト削減は短期的な課題で、
サービスは長期的な課題である」と書かれていたことを思い出した。
今の世の中はこのことが忘れさられているような気がする。
最近は郊外のアウトレットモールが大きく売上げを伸ばし、地域の活性化や
雇用の増大に寄与しているニュースを見た。アウトレットは顧客目線がぶれず、
価値よりも価格が安いから人気が出るのであり、顧客にとって郊外に行くことが
観光気分にもなるようなのだ。即ち「世の中の変化」を先取りして今大きく
伸びているのである。この大不況時代、売上げが伸びず、人件費は大幅削減し、
雇用も地域に深刻な影響が出ている、また増配どころか減配や無配が相次いで
いる現状が嘆かわしくもある。
今の世の中で一番大切なことは、多様なステークホルダー(利害関係者)と
共存する世の中に変わってきていることを忘れてはならないことを痛感した。
2009/06/20 23:58