昔MBWAと言う言葉が流行った。マネジメント・バイ・ウオーキング・
アラウンド(歩き周る経営)の略である。
私の講演もこの現場巡回の出来事ばかりをお話しするし「現場が命」
なのである。「答えは現場にしかない」が「答えが現場にかなしい」
になってしまっては、現場が疲弊し成果は出ないことが明白である。
以前スズキ自動車の鈴木会長兼社長が「夜勤の人は大変な苦労がある、
したがって時々夜勤の現場を訪れて声をかけている」と述べておられた
ことを思い出した。夜勤で働いている方は「そうか!我々のことも見て
いただいているのか!」とヤル気がますます出てくるものである。
私も「現場巡回のマネジメントが一番大切」と思い続け、
今日に至っている。最近特に感じるが、高邁な理論やスキルも決して
否定はしないが、一番大切なのは「現場目線」であると言うこと、
現場へ行けば問題が見えることを忘れてはいけない。
最近の日経新聞にも「アメリカのノルマンディ上陸作戦で、アイゼンハワー
最高司令官が、前線の部隊を頻繁に訪ねて兵隊の話を聞いた、そうすれば
兵隊たちの本当の気持ちをつかむことが出来る」と掲載されていた。
不安な表情をしている兵隊を見つけると、本音を引き出すように自分も
同じ気持ちだと語りかけ励ましたそうだ。私も元職場では仕事の半分以上は
現場を見ることだった。トップになった時こそ、現場目線を忘れてはならない。
現場を見ればお客様の変化、商品の変化、販売員の表情や態度や言葉遣いが
丸見えである。そこから問題点を共になって解決していくのである。
あるメーカーで「今度の部長は現場に全く来ない」と言う声を聴いた
ことがあった。「問題点や悩みや困ったことを聞きだしてこそモチベーション
がアップするのであり、デスクワークだけからは解決しない」。
2009/06/14 06:54