年末のテレビで「プロ野球戦力外通告・クビを宣告された男達」という番組が
放映されていた。「戦力外通告」とは主にプロスポーツにおいてチームに所属
する選手に対して、既に自チームの戦力構想から外れていることを通告すること
だそうだ。この番組は毎年放送されているらしくその年に在籍していたプロ野球
チームから戦力外通告を宣告され崖っぷちに立たされた選手に密着取材をして
いる。今年は4人の選手の取材だった。企業で言えば「解雇」されたのであるが、
野球一筋の選手には誠に厳しい局面であった。再起に向け奮闘する姿は痛々しく
もあった。トライアウトと言う再起に向けたテストがあり、その合否でカムバッ
クできるか否かが決まる。主に2人の選手のトライアウトが映し出されていたが
1人はピッチャーで未だに剛速球が投げられる選手、もう1人はキャッチャーで
守備は抜群だが打力が今一つと言う内容であった。ピッチャーは4人の打者で3人
も三振で打ち取った、キャッチャーは5打席無安打で守備を見せる場面が無かった
のである。トライアウトの合否結果を待つ心境はいかばかりだったろう、また
そのご家族もしかりである。結果はピッチャーの方は不合格、キャッチャーの方
は違う球団に入団することが出来たのだ。他球団からは必要とするポジションで
あるのか否かで判定されたのであり、雇用のミスマッチが起きたのではないか。
プロスポーツの世界は誠に厳しい、大相撲の世界でも大関が2場所負け越せば
その位置から陥落するのである。その後数日して楽天の山崎武司内野手のニュー
スが掲載されていた。彼は2004年にオリックスの戦力外通告を宣告されたので
あるが年末に2億を超える額で2年契約することが出来たのである。ここまで来る
には相当な努力をされたことだろう。プロの世界はまさに「実力」の世界であり、
ぶら下がる綱はなく自分の力しかないのである。一般企業ではリストラや希望
退職の文字が氾濫しており、安心して働けない状態でもある。同じプロである
ならば「綱にぶら下がる」ことは許されない。これからは「企業内に従属する
状況から」から「企業内で自立し強みを持った」人材になることが求められて
いるように思う。
2010/01/08 15:44