人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2010年8月 6日

ベクトル合わせ(ビジネスサプリメント430号)

先日ある企業で入社4年目の男性若手社員と「個別気づきヒアリング」をしていた

時の話である。はっきりモノを言われるし、なかなかの好青年であった。私が話

したことは全て記録され真剣な眼差しであった。しかしよく話を聴いてみるとどう

も自由に仕事が出来ていない様子が垣間見れた。彼は積極的なタイプで「言われな

くてもどんどん仕事を進める」という感じであるが、上司は「言われたことを間違

いなく進めてくれたら良い」と言うスタンスのようであり、どうもかみ合わない

様子だ。確かに彼は少し走りすぎの面が感じられる、上司としては危なっかしくて

見ておられないような時もあるのではないだろうか。彼に「いちいち細かいことを

言う必要はないが、上司には報・連・相を心がけ、仕事の進捗状況を言っているの

か?」と問いかけた。そうすると「必要と思われることは言っているが、お忙しそう

なのでコミュニケーションはあまりない」と言うではないか。そして上司から

「○○さんこの仕事にチャレンジしてみたらどうか!失敗しても私が責任取るから」

と言うぐらいの言葉をかけて指導して欲しいと言うのである。2人の間に大きな溝

が出来ていることが判明した。そこで後日その上司にそれとなく問題点を投げかけ

てみた。上司曰く「彼は考えてものをする癖が、まだまだないので間違いなく仕事

をしてくれたら良い、困ったことがあれば言ってくれれば良い」と言われる。その

ままでは「彼を潰すことにならないか?彼は上司が自分の仕事に関心を持って欲し

いらしいし、欠点があるなら遠慮なく指摘して欲しい」と言っている旨を伝えた。

上司はしばらく考え込まれて自分の仕事に没頭して、部下の仕事まで正直きめ細か

く見ていなかったと猛反省された様子である。自分も若い頃にはそのような経験を

したが、「まさか自分が同じような管理の仕方をしているとは」とも言われた。

その後お2人で十分意思疎通をされ思っていることを話し合われたようだ。数日後

若手社員の顔はイキイキしていたのが印象的だった。

2010/08/06 09:18

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