人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2010年8月24日

対応より環境づくり(ビジネスサプリメント432号)

最近の朝日新聞に日本生産性本部の「心の病」に関するアンケートが掲載されて

いた。以前日経ビジネスに自殺大国ニッポン、「毎日90人が死を選ぶ異常」と言う

記事が出たところでもある。心の病を抱える従業員が、最近3年間で減少傾向に

ある企業の割合は6・4%にとどまり、44・6%の企業で増加傾向にあるとされている。

横ばいは45・4%だった。2008年の前回調査は、増加傾向が56・1%、横ばいが32%、

減少傾向は4・5%だったようだ。増加傾向に歯止めがかかってきたものの依然高い

水準にあることが明らかになったのである。

どの年代に心の病が多いかをみると、30歳代が58・2%で最も多く、40歳代が

22・3%で続いている。いわゆる働き盛りの年代が多いのだ。最近の別の調査では

20~30代は過去最高の自殺率だとも言われている。まさにストレス社会をどのよう

に生き抜いていくかが大きな問題になってきた。

一番大事なのは必ず問題がある従業員は信号を送っているはずである。職場で

その信号を早くキャッチして早期に発見し、早期に治療することはいうまでもない。

しかし何故このような状況が起こるのかを考えてみると「職場風土」の中にある

のではないだろうか。朝のあいさつは元気に交わされているだろうか?しかも

「あ」はあかるく、「い」はいつも、「さ」はさきに、「つ」はつづけて必ず

「一言」が交わされているだろうか。職場内のコミュニケーションは活発に行われ

ているだろうか?業務の報告・連絡・相談のみでは悲しすぎる。

職場の上司は「聴く」スタンスがあるだろうか?部下に関心を持っているだろうか?

コミュニケーションほど難しいものはない。相手の言うことを聴いているようで

聴いていないことが多いものなのである。相手が話している途中で、もう次に自分

が言うことを考えていることが多い。従って真のコミュニケーションにはならない

のである。「気楽に仕事の話が出来るイキイキ職場」作りこそ、「心の病」を減少

させるのではないかと痛切に感じるこの頃である。

2010/08/24 14:58

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