人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2010年9月 3日

良い意味での危機感を(ビジネスサプリメント433号)

先日TV番組で日本航空の再建の様子が紹介されていた。稲盛会長曰く「良い意味

での商売人が少ない」とのこと、同じ組織にどっぷりとつかっているとその風土

になれてしまうものだろうし、その状況に「気づかなくなる」ものである。

いよいよ今後の再生に向けてのスタートが始まるようだ。関係者各位のこれから

のご心労は察して余りある。私も経験したが破綻すると言うことは、並大抵のこと

ではなく、崖っぷちに立たされる状況なのだ。破綻する企業はまさに「ダメだと

思ったことはあきらめてしまう」「自分たちの常識が世間での常識」と勘違いして

しまうことも多い。問題点が問題として認識されず「先送りされるのである」、

そうすると余計に解決が難しくなってしまう。そして破綻してしまうと再生のため

には厳しいリストラが待ち受けている。

リストラした側の言い分は①人はコストでありコストカットのためには人を辞め

させなければならない②目標値を削減するには高い給与の人を削るのが早い

③スリムにして世間の常識から考えても若手よりも中高年をリストラするほうが

反発は少ないと考えるものだ。

リストラされた側の言い分は①この歳で辞めろと言われてもう何処へもいけない

②自分たちは今まで企業のために尽くしてきた、それをモノ扱いにされプライドが

許されない③我々には責任はない、経営側の責任を押し付けるなと言いたくなる

ものだろう。私はリストラした側、リストラされた側の両方を経験したが、こんな

に不幸なことはない。このようなことを今後起こさないためには、社内が「何でも

言える活発な風土」「社員が当事者意識を持ち自分で考える風土」「甘言ではなく

諫言が通用する風土」でなければならない。また時代の変化を先取りして社員が

「ミッション」をはっきりと自覚し、明確な「ビジョン」「パッション」を持って

この不況を乗り切らなければ明日はないと思うぐらいの危機感を醸成しなければ

ならないと思うこの頃である。

2010/09/03 21:23

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