以前日経新聞にGM再生の記事が掲載されていた。GMが予想以上のスピード再生を
果たしつつあるが、企業再生の必要条件は「潤沢な再建資金」「強力な指導者」
そして「組織全体の危機感の共有」とあった。しかしお金だけでは企業の延命は
できても「再生」は難しいようだ。外部から起用された強力なリーダーシップを
発揮できるトップがいくら改革の旗を振っても、社員が危機感を共有していなけれ
ば改革は空回りし、派閥などができ内紛が起こる可能性があるとも書かれていた。
現にそのような大企業もある。筆者はこの中でも「組織全体の危機感の共有」が
最も大切だと感じる次第である。これは自分自身の経験からも痛切に感じるので
ある。ある時企業と言うものは全ての部門が黒字ばかりの連続は怖い「健全な赤字
部門」が必ず必要であるという言葉が浮かんだ。そう!良い意味での危機感を持た
ないと「茹でガエル」になり、破綻につながる可能性があるのだ。「危機感の欠如」
が言われ続けたGMでも労働組合が退職者向け給付で大幅に譲歩するなど関係者の
危機意識が確実に高まったそうだ。以前のブログにモーガン・マッコールという学者
が「人が変わらない理由」を分析されたことは掲載したが、ある組織でこの理由の
ベスト5を選んでもらった。何と「何をどのように変える必要があるのか分からない」
「時間とすごいエネルギーが要る」「今のままが良く変わりたくない」「変化に対す
る刺激誘因がない」「忙し過ぎると逃げてしまう」の5つに集中した。誠に怖いこと
である。即ち「組織全体の危機感が共有」されていない可能性がある。各人の思い
込みが強すぎる面を感じたし、「何とかなる症候群」の危険性も感じた。
改めて「変わらなければならないと言う良い意味での切迫感」を持ってもらうよう
にしなければならない状況だった。また「当事者意識」も希薄ではないだろうか。
自分の家が燃えていたら何とかして消そうとするものだが、火事のヤジ馬はただ
見ているだけで、場合によっては消火の邪魔にもなる。
参加された方々も改めて気づかれ、危機感の共有の大切さを感じ取っていただ
いたことを思い出した。
2010/09/21 20:25