人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2010年9月21日

危機感の共有(ビジネスサプリメント435号)

以前日経新聞にGM再生の記事が掲載されていた。GMが予想以上のスピード再生を

果たしつつあるが、企業再生の必要条件は「潤沢な再建資金」「強力な指導者」

そして「組織全体の危機感の共有」とあった。しかしお金だけでは企業の延命は

できても「再生」は難しいようだ。外部から起用された強力なリーダーシップを

発揮できるトップがいくら改革の旗を振っても、社員が危機感を共有していなけれ

ば改革は空回りし、派閥などができ内紛が起こる可能性があるとも書かれていた。

現にそのような大企業もある。筆者はこの中でも「組織全体の危機感の共有」が

最も大切だと感じる次第である。これは自分自身の経験からも痛切に感じるので

ある。ある時企業と言うものは全ての部門が黒字ばかりの連続は怖い「健全な赤字

部門」が必ず必要であるという言葉が浮かんだ。そう!良い意味での危機感を持た

ないと「茹でガエル」になり、破綻につながる可能性があるのだ。「危機感の欠如」

が言われ続けたGMでも労働組合が退職者向け給付で大幅に譲歩するなど関係者の

危機意識が確実に高まったそうだ。以前のブログにモーガン・マッコールという学者

が「人が変わらない理由」を分析されたことは掲載したが、ある組織でこの理由の

ベスト5を選んでもらった。何と「何をどのように変える必要があるのか分からない」

「時間とすごいエネルギーが要る」「今のままが良く変わりたくない」「変化に対す

る刺激誘因がない」「忙し過ぎると逃げてしまう」の5つに集中した。誠に怖いこと

である。即ち「組織全体の危機感が共有」されていない可能性がある。各人の思い

込みが強すぎる面を感じたし、「何とかなる症候群」の危険性も感じた。

改めて「変わらなければならないと言う良い意味での切迫感」を持ってもらうよう

にしなければならない状況だった。また「当事者意識」も希薄ではないだろうか。

自分の家が燃えていたら何とかして消そうとするものだが、火事のヤジ馬はただ

見ているだけで、場合によっては消火の邪魔にもなる。

参加された方々も改めて気づかれ、危機感の共有の大切さを感じ取っていただ

いたことを思い出した。

2010/09/21 20:25

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