先日私の話し方訓練を受講された方からある嬉しいお言葉をいただいた。彼は企業で
言えば中堅どころ、しかし話をするのが苦手で人前で話すなんて出来ないとの事であ
った。そこで私は彼に「上手く話そうと思うな!」「短くても言いたいなぁと思うこ
とだけで良い!」「ともかく大きな声を出そう!」の3点をアドバイスしたのである。
また受講者全員にメラビアンの法則(力強い口調で相手に訴えることの大切さ)
<言葉は7%、話し方は38%、表情や態度は55%>の話をして言葉にとらわれないよ
うにしていこうともお話させていただいた。
その後彼とお目にかかることがあったが彼から次のようなお話をされたのは驚きで
あった。彼曰く「先日親戚の法事があり、経本を全員で読む場面があった、自分も
何時ものようにボソボソとみんなのペースに合わせていたが、ふと研修のことを思
い出して、大きな声で経本を読んだ、そうすると周りの雰囲気が変わり、小さな声
を出していた方々も彼に合わせて大きな声になった」と言われる。また彼は人々を
リードするには自分自身が出来ていないといけないことが改めて理解出来たと言われ
るではないか。そこで彼に「職場で何か自分自身を変えたのか?」と聞いてみると、
毎日朝一番の「あいさつ」は私が言ったように<あ=明るく、い=いつも、さ=先に、
つ=続けて、一言を添える>を実践されているらしい。また朝礼の最後に全員でスロ
ーガンや企業理念を唱和されるらしいが、今までは全員が小さな声だったが、自分が
率先して大きな声を出すと全員が大きな声になり、職場に活気が出てきたと言われる
ではないか。そのことをお伝えになる彼の話し方や態度が以前とは全く違い、堂々と
されていたし、何だが自信のようなオーラが漂っていたのである。
彼は話し方訓練から、流暢に話すことが出来ると言うパターンではなく、自分が信念
を持って堂々と大きな声を出すことが如何に大切かを身をもって経験されたのであろ
う。この話を上席の方にお話しすると、最近彼の活躍は目覚しく素晴らしいものがあ
るとのことだった。リーダーシップを難しく考えるとなかなか実践に移せるものでは
ないが、彼からリーダーのあり方は「変えるべきものを変える勇気を振り絞って、
自分の信念をブラさずに実践に移していくこと」に尽きると言うことを改めて示唆さ
れたような気がしたのである。
2012/07/01 06:44