人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2012年7月19日

リスペクトマインド(ビジネスサプリメント513号)

最近過労や仕事上のストレスによるメンタルヘルスの問題や、職場におけるハラス

メントやいじめなど人権に関わる課題が増えてきた。しかし現在はその防止対策ば

かりとなり「この言葉はダメ」とか「ここまでは言って良い」と言うものが目立つ

ようになっている。言い換えれば「頭が痛いから頭痛薬を飲む」と言った対処療法

で「どうすれば頭痛にならない体をつくるか」の根治療法が欠落しているように感

じる。安心して働ける職場とはお互いが「リスペクトしあいながら、コミュニケー

ションのとれた職場を如何に作っていくこと」が大切になってくるのは言うまでも

ない。一番大事なことはお互い同士が「関心=関わる心」を持てるかどうか、関わ

る心の薄い職場では安心して働けない。ハラスメントのない職場づくりの基本は日

頃の声かけであり、それがお互いの信頼関係を構築していくのである。昨今の学校

のいじめ問題などは誰も関わりたくない気持ちが優先しお互いに関心を示さなかっ

たために大きな問題となったのではないか。

以前ある工事関係の職場で声かけの「見える化実験」をした。リーダーがメンバー

の名前を手帳に書き、声をかける度に正マークを書いていくものだった。実験以前

のリーダーは全員に平等に声をかけている「つもり」だったが、実際の声かけには

偏りがあったのだ。わずか7人のメンバーだったが1ヶ月の間で一番声をかけたメン

バーは30回、一番少なかったメンバーは3回と出てしまった。リーダーはびっくり

して、一番少ないメンバーと打ち解けて話し合ったようだ。そうすると彼から「何

故自分だけが事業所と遠い工事ばかりなのか?」「何故難しい工事ばかりを割り当

てるのか?」との疑問の声が出てきたのである。そう!彼の帰社時間は何時でも誰よ

りも遅かったのだ。リーダーに悪気はなく彼に関心を示さずに、帰りが遅いので声

をかける場面が少ないことに気づいていなかったのだ。そこで改めて彼に詫び公平

な距離の工事分担を約束し、このメンバーの技術スキルが優れているので、自然と

難しい工事を分担させていたが、必ず補助要員をつけてその人間にスキルを付けさ

せ徐々に担当させるようにしたのだ。あのままであれば公平性に欠けた職場となり、

大きな問題につながっていくところだっただろう。これからは「ワーク・エンゲー

ジメント=お互いにリスペクトマインドを持った生き生き職場」が求められるので

はないか。

2012/07/19 08:02

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