人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2012年7月29日

当事者意識(ビジネスサプリメント514号)

先日日経新聞に次のような面白いコラムが掲載されていた。「経営不振が続くある

会社で、こんな話を聞いた。頑張れば会社は立ち直るのか、それともこのまま落ち

ていくのか。振り返れば、社員が会社を<うち>と呼ばなくなり、<この会社>と

言い始めた時が、転落の始まりだったのではないか。人々の顔色は少しずつ変わっ

ていたが、経営者は分岐点のサインに気づかなかった」とあった。そう!この言葉

は真実ではないだろうか、まさに私自身もこの経験をして痛い目にあった。企業の

個人ヒアリングをしていて「この会社はダメですよ!」と言う発言が多いところは

パフォーマンスもモチベーションも低いと感じる。

あるご支援していた中小企業では社長自らが「これからは情報を開示し全員が仲間

として会社を経営する<全員参加型経営>でなくては生き残れない」と社員に訴え

られたことがあった。この会社は地道に皆さんが与えられた役割を「やらされ感」

なく取り組んでおられて、ともかく明るい風土なのである。各人の「当事者意識」

が醸成されていた。そうすると先日の日経新聞にあるホテルの女性執行役員の方の

ご活躍されている記事があった。このホテルは経営破綻したが、新たな引き継ぎ先

に譲渡されたらしい。この方が着任されて従業員に接すると、礼儀正しくサービス

のレベルは極めて高かったようであるが「自分のホテル」と言う意識が足りないと

感じられたらしい、親しくなられた従業員から「この先どうなるのか凄く不安」と

打ち明けられた。ホテルは収益物件として売買の標的になるし、相次ぐ経営権の

譲渡が従業員に不安を与えていたのだ。そこでまずは「現場が安心して働ける環境

を整えることが大切」と感じられ日夜現場の疑問や不安を解いておられる姿が掲載

されていた。きっと従業員が「我々のホテル」と言う当事者意識が芽生えてくるも

のと確信する。

以前中根千枝さんが「タテ社会の人間関係」でも述べられていたが、タテ社会の

組織はじり貧になると、行くところまで行かないと、変化を起こせない弱さがある

のではないだろうか。私自身が最も感じるのは「同じ組織の中にどっぷり浸かって

しまい<ゆでガエル>になり、全て他責にしてしまう怖さ」を凄く感じることが多

い。働く人達が組織の中で「自立マインド」を持ちイキイキと動ける風土作りが今

ほど求められる時はない。

2012/07/29 13:04

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