最近ご支援している企業の中堅社員の方から「当たり前のことを、当たり前にすると
言うことが、如何に難しいかが分かりました」と言う発言があった。誠にその通り、
この言葉の重みを理解されたことは凄いと思う。これで思いついたのであるが、日経
新聞の「経営の視点」にオリンピックに学ぶ7つのヒントと題したコラムが掲載され
ており、「人と組織」に参考になるのでご紹介する。
第一は女子選手の活躍である、金メダルは女子4つに男子3つ、女子サッカーやバレー
ボールの活躍は誠に素晴らしかった。民間企業の部長相当職の女性比率は未だに約
5%にとどまるらしい。これからの女性の活躍が大いに期待される。第二は異能の
人材が光ったとある。女子柔道の鋭い眼光の松本薫選手や、どんな時でもマイペー
スで難局を打開する体操の内村航平選手などはその最たる方達である。企業も同じ
ような人材の集団は組織力が弱い、その中で如何に異色な人材が存在するのかが問
われるのではないだろうか。第三はグローバル人材の重要性で、外国でプレーした
経験のある選手の活躍が目立った。サムソン電子は新興国に社員を派遣して生活研
究から市場開拓に取り組み、数々の日本のメーカーを凌駕している。第四は絶えざ
る革新が欠かせないこと、即ち「イノベーション」が最も大切なのである。女子レ
スリングの吉田沙保里選手は連勝記録ストップから自分のスタイルを進化させて
見事金メダル3連覇させたのである。伊調馨選手もしかりで自分のやり方はこれだ
と決め付けることなく「変化」させることは企業経営においても凄く重要なことは
言うまでもない。変化をチャンスにつなげるのは「革新」しかない。第五は敗因を
とことん分析して、戦略を立て直して巻き返せとある。金メダルゼロに終わった
男子柔道の再建は「精神的な弱さ」だけではないだろう。長期の低落傾向からの
構造的な要因の脱却以外にはなく、「もっと根性を出して頑張ろう」だけでは解決
出来ない。精神論だけの世界はもろいものである。第六は自己満足に陥ってはなら
ない。金メダルは目標の半分に終わったが、メダル数の過去最高は素晴らしい成果
に違いない。しかし企業に置き換えれば、利益率が低いのに内部留保が厚いからと
言って満足しているようでは話にならないとある。第七は信賞必罰を忘れるなと
ある。必罰は選手ではなく指導者であり人心を一新して出直すべきはどうか。経営
トップの甘い企業にも同じことが言えるのではないか。以上ご紹介したが全て冒頭
の「当たり前のこと」がなされてこそ次のステップが見えてくる。
2012/08/25 09:25