人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2013年1月10日

気づいたリーダー(ビジネスサプリメント532号)

あるお手伝いしていた企業のリーダーから久しぶりにメールでお便りをいただ

いた。彼曰く「最近はメンバーと非常にコミュニケーションが良くとれて職場

の風土も凄く変わりました」と言う嬉しい内容であった。

そう!このリーダーは物事をかなり強引に決めつけて、あまり人の良い点を見ず

に、重箱の隅をつつくようなところがあった人だった。もちろん仕事には自信を

持っていたので、かなりの成果は出しておられたが、如何せんメンバーからは口

が悪い、自信過剰との声が多かったのである。私とも何回かヒアリングを重ねた

のであるが、人を観察する眼は鋭いものがあった。そこで「あなたは良く人を観

ているが、その人の欠点ばかりを決め付けて責めてはいないだろうか?」「その

人の良い点を観たことがあるのだろうか?」「自分の考え方を一方的に言って、

人の意見をゆっくりと聴こうとしていないだろうか?」と問いかけた。最初は

「そんなことはありません」との拒否反応ばかり、焦らずに何回か事例を挙げて

それとなく気づかせていったのであるが、彼も自分では指摘したことを認めなが

ら、スタンスを変えたくない様子であった。一般的には気づきにはかなりの時間

がかかるものだ。その後、彼はある時、問題があるメンバーに対して、その問題

点をズバリ指摘するのではなく、メンバーが気づかない良い点を褒めたことがあ

ったのだ。そうするとそのメンバーから彼に良く声がかかるようになり、メンバ

ーからの相談事が増えてきたらしい。そう以前の彼は人の話を必ず「否定」から

入っていたのであるが、その時は思い切って「肯定」から入りお互いの距離感が

凄く縮まることを実感したらしい。そしてサブリーダーにも「マネジメントで一番

大事なことは、メンバーの話をゆっくり聴きだすこと」とアドバイスしたとのこと。

人間は意識では理解していても、行動にはなかなか出ないものだが、何か実践で身

をもって感じると「気づき」が出てきて行動も変わるものなのだ。このリーダーは

人物観察が良く出来る人であり、メンバーの良い点を見つけ出して、欠点をカイゼ

ンさせたのである。先日そのリーダーとお話すると、他のメンバーに対しても同じ

ように接することが出来てきたと喜んでおられた。久しぶりにお目にかかったが、

何時も厳しいお顔だった彼が、穏やかな表情になっていたのには驚いた。

2013/01/10 21:51

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