あるお手伝いしていた企業のリーダーから久しぶりにメールでお便りをいただ
いた。彼曰く「最近はメンバーと非常にコミュニケーションが良くとれて職場
の風土も凄く変わりました」と言う嬉しい内容であった。
そう!このリーダーは物事をかなり強引に決めつけて、あまり人の良い点を見ず
に、重箱の隅をつつくようなところがあった人だった。もちろん仕事には自信を
持っていたので、かなりの成果は出しておられたが、如何せんメンバーからは口
が悪い、自信過剰との声が多かったのである。私とも何回かヒアリングを重ねた
のであるが、人を観察する眼は鋭いものがあった。そこで「あなたは良く人を観
ているが、その人の欠点ばかりを決め付けて責めてはいないだろうか?」「その
人の良い点を観たことがあるのだろうか?」「自分の考え方を一方的に言って、
人の意見をゆっくりと聴こうとしていないだろうか?」と問いかけた。最初は
「そんなことはありません」との拒否反応ばかり、焦らずに何回か事例を挙げて
それとなく気づかせていったのであるが、彼も自分では指摘したことを認めなが
ら、スタンスを変えたくない様子であった。一般的には気づきにはかなりの時間
がかかるものだ。その後、彼はある時、問題があるメンバーに対して、その問題
点をズバリ指摘するのではなく、メンバーが気づかない良い点を褒めたことがあ
ったのだ。そうするとそのメンバーから彼に良く声がかかるようになり、メンバ
ーからの相談事が増えてきたらしい。そう以前の彼は人の話を必ず「否定」から
入っていたのであるが、その時は思い切って「肯定」から入りお互いの距離感が
凄く縮まることを実感したらしい。そしてサブリーダーにも「マネジメントで一番
大事なことは、メンバーの話をゆっくり聴きだすこと」とアドバイスしたとのこと。
人間は意識では理解していても、行動にはなかなか出ないものだが、何か実践で身
をもって感じると「気づき」が出てきて行動も変わるものなのだ。このリーダーは
人物観察が良く出来る人であり、メンバーの良い点を見つけ出して、欠点をカイゼ
ンさせたのである。先日そのリーダーとお話すると、他のメンバーに対しても同じ
ように接することが出来てきたと喜んでおられた。久しぶりにお目にかかったが、
何時も厳しいお顔だった彼が、穏やかな表情になっていたのには驚いた。
コメント
2013/01/10 21:51
R・M
私もとても反省させられます。
「否定」からではなく、「肯定」から。
そうでないといい方向に進まないのですね。
肝に銘じたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。