人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2013年2月 9日

なでしこ管理職(ビジネスサプリメント535号)

以前ある組織体で個人別ヒアリングをした時のことである。1人の女性ベテラン社員

がおられたが、彼女曰く「今の組織はやはり男性社会、我々が意見を言うような雰

囲気ではない」と言われた。そして「私達は役割だけを言われた通り正確にしておけ

ば良い」とも言われるではないか。いろいろとお話をしていると、その方は仲間の信

頼感も厚くお仕事の正確さも抜群、キャリアも豊富で周りの空気もよく読める。何故

そのような思い込みになられたのか、ゆっくりと聴いてみると以前の企業では上司

を巻き込んで、喧々諤々と議論をして非常にやりがいがあったらしい、そして自分た

ちの意見をどんどん取り入れてもらえるようで毎日が楽しく「達成感」があったとの

こと。しかし今の組織体に変わってからは指示命令のみで話しあうような雰囲気で

はなく、言えば「何を言っているのか?」と言う雰囲気らしい。今日本は「増えぬなで

しこ管理職」が大きな問題になっている。何と管理職になる女性は12%程度どまりで

30%を超える欧米との差は埋まらないと言う。IMFのラガルド専務理事は「日本は

未活用のよく教育された女性労働力と言う潜在成長力がある」と述べられ、「女性

の活躍」が日本経済成長のカギと言い切っておられた。この方はもう割り切ってマ

イペースで仕事を進めるのがベストと思い込まれていたのである。誠に残念なお

話ではないか。まさに「気楽にまじめな話が出来る風土」ではなかったし、組織も

縦割りで横串もなかった。彼女は決して管理職が嫌ではなかったようである。今ま

でに彼女のいろいろなていあんを受け入れておられたら、生産性ももっと上がった

のではないだろうか。以前お手伝いしている企業様で現場女性パートの方達の

意見を取り入れて成果を出されている事例をご紹介したが、組織と言うものは人

が足りないではなく、ヤル気を喚起して活かしていないことが多いのではないだ

ろうか。おそらく上席の方々は「内向き・上向き・箱文化」で外向き、下向きになっ

ていないから分からないのであろう。そしてお互いに勝手な思い込みや決め付け

があるのだ。男性管理職の旧態依然とした考え方ではもう世の中は通用しない。

仕事が出来る女性に活躍の場を与えて欲しいものだし、韓国では管理職の女性

比率が目標を下回る企業に改善策づくりを義務づける法律があるそうだ。育児

支援など課題をクリアして女性の活躍が経済成長のカギとなって欲しいと思う

この頃である。

2013/02/09 15:53

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