人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2013年3月 1日

叱り方検定(ビジネスサプリメント537号)

先日の日経新聞に「叱り方で部下伸ばせ」と言う記事が掲載されていたので注目して

読んだ。職場のパワーハラスメントやうつなど心の病を抱えるメンタルヘルス対策が

叫ばれて久しいが、その記事ではNPO法人が上手に部下を叱ることを目指す「叱り方

検定」を始めたとか。私はハラスメントの防止は「こうしようとか、こうしてはいけない」で

はなく、相手に関心を持ち人間としての尊厳を守ることが何時も大事だと思っている。

企業は社員の生命や心身の保護に努める安全配慮義務があり、部下を指導する立場

にある人はリスク管理の観点からも「正しい叱り方」を知ることに異論は全くない。しか

し「検定」と言う言葉には何だか違和感を覚えるのである。

叱り方名人の心得として次の10か条が掲載されていた。
①「叱る」と「怒る」を区別する
②「枕ことば」で思いやりを表現する
③他人と比較してはならない
④思い込みで叱らない
⑤「人」と「こと」を区別して伝える
⑥相手の真意をくみ取ったうえで叱る
⑦何でも話が出来る「場」を意識してつくる
⑧部下の成長を望み応援する意識を持つ
⑨必ず最後に未来につながる関わりで終わる
⑩言行一致を心がける

とあった。私はこれを見て到底名人にはなれないと思った。この項目を全てクリア

クリア出来るだろうか?役割演技としては出来るかもしれないが、相手にはすぐ見

抜かれるのと感じる。果たして褒め方や叱り方は「ノウハウ」なのであろうかとの疑

問が生じる。①から⑩までマスターすれば相手が本気で「気づく」のであろうか?

しいて言うならば⑧の部下の成長を望み応援する意識さえあれば良いのではないか。

もちろん今大きな問題になっているいじめや体罰的なことは許される訳はない。

本屋に行けば叱り方のビジネス書も多いが、要はハートがあるかないかである。

怒るは感情、叱るは愛情と言うが、時には感情的になってもおかしくはない。

言い過ぎかもしれないが職場のミスに怒り心頭になっても、真っ赤な顔で怒っても

むしろ人間的ではないだろうか。後で相手を自然にフォローすれば全て解決するもの

だ。一番大事なことは「相手をリスペクトする気持ち」を持つことではないか、それがな

ければハラスメントにつながる可能性がある。

こうすれば上手く行くという考え方にはなれない。

2013/03/01 09:06

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