人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2013年3月10日

伝える力(ビジネスサプリメント538号)

以前ある男性リーダーと個別ヒアリングをした時のことを思いだした。彼はすごくまじ

めで手抜きをしない愛すべきリーダーであったように思う。しかし周りの部下に対して

の発信力や影響力が十分に出せていなかったのである。彼曰く「私は部下に対して

上手く伝えられない」と言うではないか。かなり悩んでいる。1・2回彼と話してみると

「話が長く、結局何を言いたいのか?」が分からないのである。いろいろと話をする内

に彼は「分かりました!要は結論を先に言い、その理由を後から言えば良いのですよ

ね?だらだらと言っていました」と自分で気づいたようであった。ちなみにそのスタイル

で発信していけば良いのではないかと言うことになり、次回に持ち越し課題となった。

次回のヒアリングで彼に「どうだった?」と問いかけたところ、「どうもまだ上手く伝えら

れない、部下も不満げな顔をする」とのこと。じっくりとお話を重ねると、彼の話し方は

非常に単調であり、極端に言えば眠くなるような気分にも襲われる。そのことを彼に

伝えると「指示や命令する時も、その理由を言う時も、同じ説明口調でメリハリがない

からかも知れない?」と言うではないか。誠にその通り、強い口調で端的に言えておら

ず、すごく単調であることを自ら気づいたのである。付け加えるならば、彼の周辺には

オーラがなく、緊張感が漂っていない。いつもカリカリしていると周りは委縮するが、そ

の使い分けが出来ていないのであった。ここが彼への攻めどころと思い、彼の伝え方

が結果としてリーダーに対しての信頼感を損ねているのではないだろうかとも示唆を

した。彼は私の言葉を素直にキャッチしてくれたのであった。後は最後のヒアリングの

時を待つだけとなった。そして4回目の最後の時が来た、彼は私に自分が試行錯誤した

結果を結論から先に力強く言い、その後具体的に部下とのやり取りを分かり易く端的に

伝えてくれたのである。その時は彼の満面の笑顔があった。言われたからの「やらされ

感」ではなく気づきによる「達成感」だった。人間はなかなか変わらないものであるが、

まずは「自分自身が気づくこと」そして「あきらめずにやらせてみること」の繰り返しが行

動変革を呼び起こすと言う実例だった。その後彼は立派なリーダーとして活躍してくれて

いるらしいが時々は検証してみないといけない。まさにオーダーメイド型人材育成その

ものであった。

2013/03/10 07:57

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