以前ある男性リーダーと個別ヒアリングをした時のことを思いだした。彼はすごくまじ
めで手抜きをしない愛すべきリーダーであったように思う。しかし周りの部下に対して
の発信力や影響力が十分に出せていなかったのである。彼曰く「私は部下に対して
上手く伝えられない」と言うではないか。かなり悩んでいる。1・2回彼と話してみると
「話が長く、結局何を言いたいのか?」が分からないのである。いろいろと話をする内
に彼は「分かりました!要は結論を先に言い、その理由を後から言えば良いのですよ
ね?だらだらと言っていました」と自分で気づいたようであった。ちなみにそのスタイル
で発信していけば良いのではないかと言うことになり、次回に持ち越し課題となった。
次回のヒアリングで彼に「どうだった?」と問いかけたところ、「どうもまだ上手く伝えら
れない、部下も不満げな顔をする」とのこと。じっくりとお話を重ねると、彼の話し方は
非常に単調であり、極端に言えば眠くなるような気分にも襲われる。そのことを彼に
伝えると「指示や命令する時も、その理由を言う時も、同じ説明口調でメリハリがない
からかも知れない?」と言うではないか。誠にその通り、強い口調で端的に言えておら
ず、すごく単調であることを自ら気づいたのである。付け加えるならば、彼の周辺には
オーラがなく、緊張感が漂っていない。いつもカリカリしていると周りは委縮するが、そ
の使い分けが出来ていないのであった。ここが彼への攻めどころと思い、彼の伝え方
が結果としてリーダーに対しての信頼感を損ねているのではないだろうかとも示唆を
した。彼は私の言葉を素直にキャッチしてくれたのであった。後は最後のヒアリングの
時を待つだけとなった。そして4回目の最後の時が来た、彼は私に自分が試行錯誤した
結果を結論から先に力強く言い、その後具体的に部下とのやり取りを分かり易く端的に
伝えてくれたのである。その時は彼の満面の笑顔があった。言われたからの「やらされ
感」ではなく気づきによる「達成感」だった。人間はなかなか変わらないものであるが、
まずは「自分自身が気づくこと」そして「あきらめずにやらせてみること」の繰り返しが行
動変革を呼び起こすと言う実例だった。その後彼は立派なリーダーとして活躍してくれて
いるらしいが時々は検証してみないといけない。まさにオーダーメイド型人材育成その
ものであった。
2013/03/10 07:57