以前個人別気づきヒアリングをしていた時である、ある若い男性社員の方から次の
ように言われた。「ONタイムの時は凄くパワーが出て、オーラを感じますが、休憩な
どは完全にOFFになられていますよね!」と。もちろん何でも話し合える環境づくりあ
りきでお話しているので、「あなたが私に何か感じることはないか?」と聞いたからで
ある。彼とは3回目のヒアリングであった、彼は最初構えていたらしい、2回目でかなり
ホンネを話してくれた、そして3回目でこの言葉が出てきたのである。最近「聞く力」に
関する本がたくさん出されているが、参考にはなるがそれ以上でも以下でもない。
どれだけ真剣に全力でぶつかりヤマアラシのジレンマ<2匹のヤマアラシが寒いから
と言って近づきすぎると、針で体に傷をつけてしまう、そうかと言って離れすぎると今
度は寒い、そこでお互いに傷をつけない暖かい距離を見つけ出した>を実践に移せ
るかが問われるのである。もう延べ5000人を超える方々とヒアリングを実施したが、
正直心底疲れる。だから話をしている時は気が抜けないし、相手の言っていることを
一字一句逃さない、集中しなければならないのである。従って意識せず合間には気が
抜けているのだろう。もちろんONタイムのテンションを継続しておればダウンすること
は間違いない。彼は冷静に私を見つめていたのだろう。自分のキャリアにおいても同
じようなことが言えるのではないだろうか。常に上り坂ばかりでは息切れしてしまうし、
一息入れる時が必要なのだ。私はこれを「踊り場」と呼んでいる。踊り場のない長い
階段ばかりだと上る気がしない、ところどころに「踊り場」があるから上ろうとするので
はないだろうか。踊り場とは英語の辞書では「Landing=着地とあり→でFlight=飛び立
ち」につながっている。そう!ものごとを中途半端にせず、緩急おりまぜないと継続は
出来ないし、進歩もない。私は彼の一言で「何だかホット」したのも事実であった。この
ようなことが相手に見えてこそ「聞く力」になるのではないだろうか。最近はノウハウや
スキルで何とかなると言う風潮が多い。ノウハウやスキルで乗り切れれば世の中全員
が上手くいくが、現実はそうではない。最近「キャリアの扉にドアノブはない」と言う印象
的な言葉を見つけた。キャリアと言うドアに簡単なノブは付いていないのである、自分が
バランスを保ちながら自分でドアを切り拓いていないと混迷する時代は生き残れないの
かもしれない。
2013/03/20 07:50