人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2014年3月20日

レジリエンス(ビジネスサプリメント578号)

ある雑誌で「レジリエンス」と言う言葉を見つけたが、私はこの言葉を全く知らなかったので少し調べてみた。多くの解説があったがシンプルにまとめると、
この言葉はresilienceと言う英語で精神的回復力、抵抗力、復元力、耐久力と言う意味の心理学用語らしい。「困難な状況にもかかわらずしなやかに適応して生き延びる力」とあった。うーん難しい!その雑誌にはソチ冬季オリンピックで6位入賞した浅田真央選手のことが書かれていた。彼女の活躍が日本人を感動の渦に巻き込んだのは記憶に新しいし、金メダルと言う重い課題を抱えながらのストレスは凄いものであっただろうが、彼女はメダル以上のものを残してくれた。
浅田選手から学ぶべきことは多々あるが重要な事はショートプログラムで「どん底」に陥りながらもわずかな期間で再起してフリースタイルで最高の演技をした「レジリエンス=復元力」だったのである。この言葉は世界中の人材育成の現場でも注目されているキーワードらしい。浅田選手がどん底から何故そのような素晴らしい成果が残せたのだろか、持っている能力を思う存分発揮し、メンタル面では良い意味での「開き直りの心」ではなかっただろうか。演技後の彼女の涙は悔し涙ではなく、うれし涙であったのだろう。どん底を見た人は強いものだ、浅田選手は今後もまだまだ活躍して欲しいと思う。
私も比較にはならないが、阪神淡路大震災、震災に伴う長期の労使紛争、大型倒産、失職、転職と「どん底」な状況であったが、今それを振り返れば自然な流れとして捉えることが出来る自分がある。当時はかなり空回りをしていたように感じるし「何故自分が?」と言うように考えたことも多々あった。しかし前に進むには今までの自分の力を思う存分発揮するしかなかったし、自分自身が如何に「ゆでガエル」であったのかを再認識させられたことも多かった。
精神面では5つの「あ」が大切であった。それはまず、あきらめない<あきらめたらその時点で前には進めない>、あわてない<普段の落ち着きを失わないようにする>、あせらない<あせればあせるほど失敗をしてしまう>、あなどらない<これを忘れると無意識の手抜きが始まる>、あてにしない<人間不信ではないが、自分が自立しない事には前には進めない>を実践してきたのである。そう「しなやかに適応していく」しか前には進めない。
あらゆる分野のリーダーは今こそこの「レジリエンス」が求められているのではないだろうか。

2014/03/20 09:25

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