人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2014年8月 1日

他人事(ビジネスサプリメント587号)

長年同じ組織にどっぷり浸かってしまうと、どうしても「内向き指向」になってしまうものだ。即ち「会社」の常識は「社会」の非常識であることを感じなくなるのが怖い。私も経験したが、同じ組織にどっぷり浸ってしまうと最初は「おかしいな?」と思っていても「まぁいいか!」と思い込んでしまう。また出来るだけ「現場第一線」に目を向けたいものだし、外部環境を見る余裕も欲しい。そのまま放置すればまさに「ゆでガエル」になってしまう。「内向き指向」にならないために一番大切なことは「問題意識(おや?おかしい)」と「目的意識(何のために)」を常に持ち続けることが肝要である。そのためには常に「知識」を深め「意識」を変え「行動」することが求められる。内向きになると、ついつい「他責」傾向になりがちであるが、他責に帰することは非常に楽であるが「考える力」がだんだんなくなってくるものなのだ。思考⇒行動⇒結果のパターンから「考動⇒成果」にならなければいけない時代と言える。また内向き指向からくる「上向き」で一番怖いことはトップに本当の情報が入らないことなのだ。そのためタイムリーに手が打てず失敗につながる。またトップにも「良いことは聞きたい」が「良くない情報は避けたい」傾向があってはならない。甘言(心地よい言葉)を好み、諫言(問題点を指摘するような言葉)を避けていてはだめである。組織体と言うものは「逆さまのピラミッド」でなければいけないだろう、一番下にくるのは「トップ」であり大変重い位置なのだ。一番上は「お客様」であり次に「従業員」であることは言うまでもない。
メンバー全員が「気楽にまじめな話」が出来る組織にしていかないと、この激変の時代は生き残れないことは確実である。何よりもまず「メンバー(現場)や顧客(お客様の変化)を見る」組織は強いものだ。そして担当が違えば全く関心を持たないような「他人事=ひとごと」になっていけない。即ち自分たちの「自分事」のみ関心があり、余計なことはしないと言う風土は誠に怖いものである。また組織と言うものは「枠」を作ってはいけない、枠なしで臨機に対応出来る組織体にしなければいけないと感じる。組織メンバーが大きな目標に向かって「ベクトル合わせ」が出来ていないと成果は出ないものだ。私は全てを経験・体験し失敗してきたので自信を持って言えるが、今こそ「他人事=ひとごと」と捉えず、また「内向き指向」にならず「当事者意識」を持って物事に取り組むことが大切だと思う。

2014/08/01 08:55 |

2014年8月15日

管理という言葉(ビジネスサプリメント588号)

一般的に組織体ではよく管理という言葉が使われている。我々も人事管理・在庫管理・計数管理・管理職等々何気なく使っていることが多い。「管理する人、される人」と表現すると何となくやらされ感に満ちた嫌な響きに聞こえたりするものだ。「管理」を辞書で引いてみると「そのものが上手く保管されたり、そのものの円滑な働きが保てるように、何時も気を付けたりすること」とある。
しかし一般的に管理優先の組織は一見統率がとれているように見られるが、案外もろいものなのだ。管理が優先し過ぎると「従属型人材」が増え「自立型人材」が育たないような気がする。この厳しい環境下「自立型人材」でないと乗り切れないことが多い。自分がぶら下がる枝は自分で作らないとすぐに折れてしまう、すなわち自立しなければならない。野生の虎は餌を自分で獲らないと飢え死にするが、動物園の虎は餌を与えられて生きている。もしジャングルに放たれたら真っ先に飢え死にするのは動物園の虎であることは言うまでもない。
依存型人材を育てるのは旧来の管理スタイルであり、これからの管理者は自立型人材を育てていかねばならない。「うちの会社は指示待ち人間ばかりだ」と嘆くのは、自ら依存型人材を育成してきたからであり、言い換えれば「知らず知らずにやらせる管理」をしてきたからなのである。これからの管理とは「相手を納得させ、相手の考えていることを十分聴き自主的に実践してもらうこと」が求められる。以前ほど言われなくなったがまさに「コーチング」そのものである。即ち相手を「受け入れ」そして「働きかけ」をしていきながら「気づかせて」指示命令ではなく、自ら動かせるのである。そこには「やらされ感」はなく「達成感」が醸成されるであろう。
「指示しないとやらないのは、指示ばかりしてやらせてきたからであり、部下が上司を信頼しないのは、上司が部下を信頼してこなかったから」である。思い切って「任せることが育てること」を肝に銘じて、旧来の管理スタイルから脱却し「部下にやる気を起こさせる」ことが非常に大切になってきた。

2014/08/15 08:40 |

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