人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2014年8月15日

管理という言葉(ビジネスサプリメント588号)

一般的に組織体ではよく管理という言葉が使われている。我々も人事管理・在庫管理・計数管理・管理職等々何気なく使っていることが多い。「管理する人、される人」と表現すると何となくやらされ感に満ちた嫌な響きに聞こえたりするものだ。「管理」を辞書で引いてみると「そのものが上手く保管されたり、そのものの円滑な働きが保てるように、何時も気を付けたりすること」とある。
しかし一般的に管理優先の組織は一見統率がとれているように見られるが、案外もろいものなのだ。管理が優先し過ぎると「従属型人材」が増え「自立型人材」が育たないような気がする。この厳しい環境下「自立型人材」でないと乗り切れないことが多い。自分がぶら下がる枝は自分で作らないとすぐに折れてしまう、すなわち自立しなければならない。野生の虎は餌を自分で獲らないと飢え死にするが、動物園の虎は餌を与えられて生きている。もしジャングルに放たれたら真っ先に飢え死にするのは動物園の虎であることは言うまでもない。
依存型人材を育てるのは旧来の管理スタイルであり、これからの管理者は自立型人材を育てていかねばならない。「うちの会社は指示待ち人間ばかりだ」と嘆くのは、自ら依存型人材を育成してきたからであり、言い換えれば「知らず知らずにやらせる管理」をしてきたからなのである。これからの管理とは「相手を納得させ、相手の考えていることを十分聴き自主的に実践してもらうこと」が求められる。以前ほど言われなくなったがまさに「コーチング」そのものである。即ち相手を「受け入れ」そして「働きかけ」をしていきながら「気づかせて」指示命令ではなく、自ら動かせるのである。そこには「やらされ感」はなく「達成感」が醸成されるであろう。
「指示しないとやらないのは、指示ばかりしてやらせてきたからであり、部下が上司を信頼しないのは、上司が部下を信頼してこなかったから」である。思い切って「任せることが育てること」を肝に銘じて、旧来の管理スタイルから脱却し「部下にやる気を起こさせる」ことが非常に大切になってきた。

2014/08/15 08:40

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