人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2015年1月 9日

プロの厳しさ(ビジネスサプリメント598号)

昨年末に例年通りプロ野球「戦力外通告」がテレビ放映された。昨年度に通告されたのは118人、副題は「クビを宣告された男たち」とある。
プロの世界はぶら下がれない、役に立たなければ必要ないのである。
3人の選手の様子が赤裸々に語られていた。結婚式を1ケ月前に控えた選手、5人の子供を抱えた選手など様々であった。
1人は日本ハムでダルビッシュと肩を並べた元エース、初年度は12勝8敗で新人王に輝いた投手、2年目から調子がでず、オリックスにトレードプロ9年目の選手だった。何と子供さんたちが5人もいる一家の大黒柱なのである。
2人目は元巨人軍の投手、卒業後独立リーグに所属して、アルバイトなどをしていた苦労人である、育成選手として入り活躍した時期もあった。彼も怪我で手術したが調子が出ておらず、しかも1か月後に結婚式を控えていた。
3人目はベイスターズの投手、ベイスターズは投手陣の大幅なリストラを行い、その中に入ってしまったのである。彼は自分でトレーニングし、球団からのオファーを待っていたのである。
上記2選手は再起が出来る投手34人、野手25人参加のトライアウトに挑戦。投手はワンボール・ワンストライクから4人のバッタ―と対戦、1人目の選手は見事4人を抑えた。2人目の投手は1人にクリーンヒットを打たれたが3人を抑えた。後はスカウト達の声がかかるかどうかの判定待ちになる。
まず1人目の選手にロッテから電話があり入団テストを受けて欲しいという知らせが入った。即契約ではなかったのである、その後中日から契約したいとのオファーがあり次にステップに移れた。5人の子供さんを抱えての背水の陣を見事に乗り切った。
2人目の投手は何処からもお声がかからず、転職を決意し無事にトレーニングジムへの就職が決まった。3人目の投手は楽天が以前から目を付けており、楽天からの声がかかりキャンプに参加し入団が決まった。
プロと名のつくスポーツは戦力にならないと判断されれば「クビ」であり、もうぶら下がるものはなく、自分で進路を決めなければならない。
私も32年間勤務したが自ら「戦力外通告」しなければならなかったのである。次に入社した企業はベンチャーであり、「起業家精神」を叩き込まれた。ぶら下がるものはない、あくまで自分自身なのだ。入社数日後にトップから「自分の報酬の2倍以上稼がないと戦力にならないですよ」と言われた言葉を再度思い出した。

2015/01/09 09:08

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