あるコンサル先企業の幹部ミーティングで「コミュニケーション」が
一番大切であると言う結論になった。
「明日から皆なで声かけをしよう!」とのこと、あまりにも抽象的でありストップをかけた。
具体的ではなく「スローガン」であり、絶対に上手くはいかないと思った。
A氏は皆に声をかけていると自信を持って言われていたので、7人の部下を持つ
A氏に実験台になってもらった。前提条件としてあくまで実験だからと念押しした。
A氏の手帳に全員の名前を書いてもらい「1ヶ月間声をかけたら正マークを入れて欲しい」
と頼んだ。「おはようございます」でも、「お疲れ様」でも良いからと。
そして1ヶ月後に発表してもらったら、A氏は驚いたご様子だった。
何と多い人で30回、少ない人は3回と言う結果が出た。
後は10回から20回までの方ばかりであった。
A氏は全員に平等に声をかけていると言う思い込みがあったのだ。
早速原因究明である。A氏を責めてはいけない。
30回の方は席も隣で毎日顔を合わせている。良く飲みにも行く。
3回の方は外勤で帰りが遅く出会う機会が少ないし、
何となく気が合わないと言うことが判明した。彼からも声がかからないのである。
そこでA氏はその方と忌憚なく話し合ってみると宣言された。
お互いの誤解や、A氏の関心度の低さが原因のようだった。
それからは気軽に話し合えるようになったのである。
また手帳につけられていたが、3回が20回になっているではないか!
ものごとは「可視化」することによって「気づく」ものであり、
気持ちだけでは実践にはつながらない。
2007/04/28 10:38