柳田邦男さんが朝日新聞に掲載されていた「2,5人称の視点」は大変興味深い
考え方だと感銘を受けた。
即ち1人称は「自分」、2人称は「相手」、3人称は「第3者」と一般的には考える。
当事者意識や自分事と解釈することは「1人称」であり、相手の立場を考えて
感受性を深めることは「2人称」、当事者ではなく客観的な立場で冷静に見ることは
「3人称」とも言えるのではないか。
専門家の客観的な立場で割り切って考える「3人称」的な癖がつくことは、
ある意味では非常に無責任で怖いことではないかと思うことがある。
結果をコメントすることは何とでも出来るが、その結果を招かないようにすることが
大事なのだ。
柳田さんは「2,5人称の視点とは問題が起きている、そこに生きる人はどんなことに
困っているのか、背景は何だろうか、心の痛みを突き放さず専門的な普遍性を併せ
もつ温かい心」と話されていた。
講演をしていても、よく理解されるのは「自分自身の体験談」である。
聴いた話や、作った話では相手の心に訴えることは出来ないと感じることが多い。
それは体験談が聴衆者に「3人称」の話では伝わらず、「2,5人称」の話として
伝わるからではないだろうか。3人称ではなく「一歩踏み込んだ2,5人称」で話すと
聞き手は、「1人称=自分事」に置き換えることが出来るのだろう。
「講釈師見てきたような嘘を言い」なんて言葉があるが、結果論やあるべき姿を
単に述べたところで何のインパクトもないし、感じることも少ないのではないか。
コーチングにしてもいくらスキルをマスターしても「3人称」で接していては
上手くはいかないだろう。1人称と2人称を踏まえた2,5人称的な考え方で、
接していくことの重要性を改めて感じたのである。
2008/12/17 09:51