今月に入り派遣社員など非正規労働者の削減が異常なほど進んでいる。
非正規労働者はすでに全労働者の3分の1を占めており、今後はより大きな
削減圧力が加わってくる可能性が大きい。
非常に大きな社会問題であることは間違いない。
まさに雇用の「ジャスト・イン・タイム=必要な時に、必要な人を、必要な人数だけ」
のように思えてくる。経営的立場なら非正規就業を望む労働者もあり、
今やグローバル化に伴う時代の流れであると言う考え方もあるだろう。
低いコストである非正規社員の活用は財務的には正しい選択肢の一つ
かもしれない。しかし働く人の立場から考えると誠に厳しすぎるものもある。
職場は正社員をぎりぎりまで減らしたところで何とか踏みとどまっているが、
その正社員まで減らせば、「モチベーションは下がり、品質低下などの副作用」
も出てくることが非常に怖い。私も過去に苦渋の決断を迫られたことがあったが、
組織は目に見えない不信感が蔓延し生産性は著しく落ちたことがよみがえってくる。
雇用減は景気を冷やすし、景気後退は雇用を減らす。
まさに雇用のジレンマになってしまう。正社員の削減にまで踏み込めば企業の
存続まで関わり、ためらえば過剰人員で最悪の事態を招く可能性もある。
ショーペンハウエルの「ヤマアラシのジレンマ」を読んだことがある。
「2匹のヤマアラシが寒いからといって寄り添いすぎると、相手の針で体に傷が突く、
離れすぎると今度は寒い、そこでお互いに傷つけあうことない暖かい距離を見つけ
出した」というものだ。
雇用にこのような距離を見つけ出すことは出来ないものかと思う毎日である。
2008/12/19 11:12