人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2009年4月 5日

人はコストか資産か(ビジネスサプリメント361号)

最近は凄い勢いで人員カットが行われている。非正規社員のカットの問題は

大きな社会問題であり、安易にコスト削減による経営の安定化を指向している

気がしてならない。私も元職在職時には希望退職の募集もあったし、

倒産時は全員の解雇も経験した。「雇用」を守れないのは誠に厳しいものであり、

経験した人でないと解らないだろう。

ある調査によると人はコストか?と言う質問に対して役員や管理職は24%が

そう思っている。しかし社員は49%がコストと思っていると言う記事を目にした。

すなわち社員は「自分はコストと思われている」と感じているのだ。

このような風土では労働生産性は上がらないだろうし、ましてや会社に対する

ロイヤリティーは薄れ企業風土はますます悪化する。

雇用調整は「社員のモチベーションが下がる」「価値を生み出す源泉が枯れる」

のである。私の経験上優秀で「自立」出来ている社員は即流失することは確実である。

人をコストだと考えて採用抑制を続けるとある時代には「ぽっかりとその層が抜けて、

企業にとって大きなネックになってしまう」のではないだろうか。

私もその経験をしている、終身雇用・年功序列・企業内組合と言う日本の

ご三家が崩れた現在は、中途採用すれば良いと考えるのも理解は出来る。

しかしその企業の理念を理解し「新しい価値を創造していく価値競争には負ける」

のではないだろうか。

私は過去の経験から、雇用形態が如何に違えども「一緒に働く仲間の雇用はすごく

重いもの」だと痛感した。

会社存続が危ぶまれる状況であればもう最後だが、経営トップは何としてでも雇用を

守る姿勢を持ち続けて欲しいものだ。

「イキイキ職場は仕組みではなく、気楽にまじめな話が出来る」状況から生まれる。

雇用対策を考える前にこのことを頭に入れて欲しい。

2009/04/05 06:50

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