人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2009年5月17日

野鴨の精神(ビジネスサプリメント367号)

IBMの2代目経営者トーマス・ワトソン・ジュニア氏が「野鴨の精神」

を唱えておられたという日経新聞の記事を見た。

海岸で秋に南に渡る野鴨を見て、親切な人が餌を与え始めた。

そうすると安楽に過ごして太った鴨は飛べなくなったと言う寓話である。

野生を失った鴨は自然には戻れないのだ。

また野生の「虎」と言う話を思い出した。動物園の虎は檻と言う限られた

枠の中でしか動けないが、餌は飼育係から与えられるので生きてはいける、

しかしもしジャングルに放たれたら自分で餌を捕獲する力がなく飢え死に

するだろうと言う話である。

最近良く見かけるがカラスがゴミステーションに来て、ゴミ袋をつついて

ゴミをバラバラにして餌にしている。誠に見苦しいし汚い状態になっている。

鳩ならば公園で餌を与えている人を良く見かけるがカラスには誰も餌を

与えることはないだろう。だからカラスは自分で餌を工夫してあさって

いるのだ。またカラスはすごく頭が良く人の顔を覚えているらしい。

自分で生きる力を付けている。

ビジネスパーソンは如何だろう。野鴨やカラスと比べるのは誠に失礼な話

であるが、餌を与えられ「飼育」されてはいないだろうか。

経営者は統制的になり、社員は従属的になってはいないだろうか?

自分自身を振り返ると野生的な気持ちがかなり薄れていたように感じる。

100年に1度の危機・不況と言われてもこの「野生的」な気持ちが薄れて

いては手の打ちようがないのではないか。

自分で考え動く力や、当事者意識をもっと植えつけて生き抜いていかない

ことにはこれからは極めて危ういことになりはしないか。

要は組織の中での「自立」が大事であり、従属した世界からは気づかない

のである。今こそ「自分の強みを再発見し、自分の力を存分に発揮する」

ことが求められている時はない。結果として組織に貢献するものなのだ。

自分がこの野鴨になっていないかを、真剣に考える時が来たのである。

2009/05/17 07:01

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