私がどん底であった時、旧知の人から「深刻になり過ぎている、真剣に
取り組めばどうか」と言う、私の人生を変えた大きな一言をいただいた。
それ以来「真剣だったら知恵が出る、中途半端だったら愚痴が出る、
いい加減だったら言い訳ばかり」ということを肝に銘じている。
「真剣」とは木刀・竹刀ではなく、人を殺傷できる刀剣なのである。
会議でもぬるま湯の中で「どんどん意見を出そう」と言っても有益な
意見が出ることは少ない。トップに対しての甘言的な意見の羅列では
全く意味のないものになってしまう。
「瀬戸際でこの企画が通らなければ我社は倒産する」と言うくらいの
真剣さがあれば、人間いくらでも知恵が出てくるものなのだ。
「自分で真剣に考え、真剣にやりぬき、真剣に結果を出すべきである」。
今この100年に1度の危機・大不況で多くの人や経営者が深刻になって
いるに違いない。「深刻」からは「ダメだ!」と思い込み、
負のスパイラルにはまり込んでしまうし、何も生まれてこない。
「真剣勝負」という言葉はあるが「深刻勝負」と言う言葉はないのである。
先日の日経新聞の交遊抄で、兼松エンジニアリング会長やまもと・ごいち氏が
昔中小企業に勤めておられた時に旧友に対して「私の給料は都会で働く
君らの半分だ、君らがうらやましい」と愚痴られたそうだ。
それに対して旧友の方は「それはお前が悪い、社長が喜んでたくさん
給料を出せるよう、もうかるようにするのが君の役目ではないか!」と
言われたとか。この一言で人生が大きく前向きに変わられたと
述べられていた。そう!「他責」は簡単であるが「自責」にならないと
真剣にはなれない、意味ある一言で随分考え方が変わるのである。
それこそが「気づき」ではないだろうか。
2009/05/31 06:55