人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2009年7月25日

気づきヒアリングはMRI(ビジネスサプリメント377号)

最近お手伝いしている企業様で各社員の方々と「個別気づきヒアリング」

をしていて感じることがある。延べ人数にすれば2000人ははるかに超えて

しまった。その方の個性に合わせて聴かなければならないから、

終わればかなりの疲れになるが、「気づかれて明るい顔をされる」と疲れも

吹っ飛んでしまうものだ。

初対面の場合は「この人は?」と思われ、話した内容がトップに筒抜けなのか

と疑われることも多い。まず7割の方は様子をさぐられるが、私もホンネを

出す内にご自分のお気持ちを出されることが多い。

コーチングの基本であるが、まずは「肯定」から入っていく、「おゃ?」

と思うことでもずばりではなく回り道をすると気づかれる。

もし間違った考え方であれば事例を出して「それはこのように考えたら

どうですか?」と申し上げると殆どの方が納得される。

外部の利害関係のない人間と共通の話が出来るという場面が少ないので

1人1時間は軽くオーバーしてしまう。女性の方は的を射た発言をされる

ことが多く、時には感情をもろに出されるので抑えなければいけない時も

しばしばある。何回か回数を重ねると、その方の変化度が見えてくるもの

なのだ。最近ある方が「気づいていると思い込んでいても、出来ていな

かったら何も気づいていないことですよね」と話された。

そうなのである、その方とはもうお話する必要はない、

「気づき」が出てきて実践に移られているのである。

私の「気づきヒアリング」は人間ドックのMRIやCTや血液検査のような

ものである。私の思い込みや決めつけは絶対にしてはならない。

いわば病理の分野ではないかと思うようになった。その方の抱えておられる

問題点や優れておられることを整理し、精密検査をしなければいけない部分

をはっきりさせることなのである。

そして臨床医はその方自身であり、上司の方なのである。

私はご一緒になってヒアリングした方の力を十二分に発揮していただくこと

のみ考えている。

2009/07/25 20:06 |

2009年7月19日

適材とは(ビジネスサプリメント376号)

日経ビジネスの別冊にジームズ・C・コリンズ氏が「適材」とは何かの

6条件を掲載されていた。氏はあの名著「ビージョナリーカンパニー」

の著者である。適材適所とは宮大工の西岡棟梁が「北の檜は北側に、

南の檜は南側に使えば千年持つ」と言われたという言葉を思いだした。

コリンズ氏は社員が適材であるための次の6条件を示された。

①会社の基本理念を共有している
②上から厳しく管理される必要性がない
③「仕事」ではなく「責任」を与えられていると自覚している
④「コミットメント」を守り、大言壮語しない
⑤会社と仕事に対して情熱を見せる
⑥「窓と鏡」の基準を満たしている

この6条件を私の経験なりにコメントしてみたい。

①現場末端にまで基本理念が「現場目線」で具体的な行動として

 咀嚼され落とし込まれていないと何の意味もない。言葉の中にある

 考え方が十二分に理解されてこそ意味が出てくるものである。

 単なるスローガンで終わってはもったいない。

②ポイントは「如何に気づかせる」か、そして自主的な動きとなるように

 ナビゲートするかにかかっている。人は「気づけば」自ら実践するもの

 なのだ。

③「自分が責任を持つから」と言える上司がどれだけいるか。そのような
 
 上司のもとでこそ部下はミッション=使命感をもちミッションオーナー

 となり仕事に取り組めるのである。

④コミットメントとは「約束・義務」であり「やろう!」と言うスタンスが

 なければ意味がない。即ち「当事者意識」を持ち合わせているのか、
 
 他責にしてはいないかがポイントである。

⑤情熱は組織の風土から生まれる、「気楽にまじめな話の共有」が出来てこそ

 気づきとヤル気の風土作りにつながるものだ。

⑥「部下は上司の鏡」と言われる、「成功したら仲間の功績」にするような

 風土になっているのかが問われている。

簡単に述べてしまったが、難しい理論はいらない。自然にこのような風土が

醸成される組織は100年に1度の危機も自信を持ってのりきれるのでは

ないだろうか。

2009/07/19 07:26 |

2009年7月12日

必要とされるとは(ビジネスサプリメント375号)

世の中暗いニュースばかりで不安感がますますつのるような状況下である。

知人のフリーランサーの方がブログで「課題に対する解決法が、

今このとき必要とされることなら仕事は減らない、相手頼みにも代理店頼み

にもできないから オンリーワンを磨くしかない」と言う内容のコラムを

掲載されていた。

私はこの内容を拝読し「目から鱗」であった。そう世の中100年に1度の

危機とか不況とか言われているが、その時代に必要なものは生き残るの

である。不況を理由に他責にするのは簡単であるが逃げでしかないし

何の解決にもならない。まだ私が30歳代のころある先輩から言われた

言葉を思い出した。

「ビジネスパーソンは今が重要な時にこの仕事をあなたに任せると言う

人材にならなければいけない、1つのことに埋没して満足していては

いけない、必要な時にお声がかかり、あなたならと任せられるように

なれ!」と言われたのである。

必要なものを、必要なときに、必要なだけ生産(供給)するという

トヨタのジャスト・イン・タイムと言う生産管理手法の考え方とはまた違う。

これはモノ発想かもしれない。我々は人間である。課題<混迷の時代ほど

多くの課題が生じる>に対する解決法を常に時代の変化を先取りしマスター

しておればお声がかかる可能性が高いものだ。

私が先輩から言われた時代とは世の中は様変わりしているが、幅広い分野を

マスターしていくには限界があるかもしれない。しかし自分の分野において

もっと深堀して極めていけば必然的に仕事は減らないと感じる。

そう!不況のため受注が減ったと言っているようではまだまだ道半ば、

もっと自助努力をしているのかを問わなければならない。

オンリーワンを磨くには「5つの(あ)あきらめない・あわてない・

あせらない・あなどらない・あてにしない」を肝に銘じ「自立」マインドを

確立して、今この時に必要とされるよう磨きをかけていきたいものだ。

2009/07/12 07:55 | | コメント (1)

2009年7月 5日

名前を覚える(ビジネスサプリメント374号)

先日元職場の部下であった方と会食をした。その時に自分では忘れていた

エピソードを聞かされた。

まだ私が人事課長時代に多くの新入社員を採用していた時があった。

何と5泊6日の新入社員研修を2回も実施していたのである。

8人ほどのチームを20班ほど作り、10班ずつ2回実施し、必ず2年ほど

先輩の社員をリーダーにしたのである。リーダーはフォロアーがなければ

育たない、新入社員教育とリーダー教育を兼ね備えたものであった。

その時に私が10泊して必死で覚えたのは、新入社員の名前と顔であった。

10泊で約160人の名前や顔を覚えるのである。「ちょっとあなた!」

よりは「○○さん!」と呼んだ方が嬉しいに決まっている。

自分に関心を持ってもらっているという気持ちから、会社の仲間になった

と感じるものである。彼曰く私のことを見習おうとして、各人の小さな

顔写真と名前を書いたカードを持って必死で覚えようとしていたそうだ。

そうしたら私が「そんなことをしても機械的に覚えるだけ、どうして中に

入って一声かけないのか?そうでなければ真に覚えたことにはならない」と

言ったそうなのである。

彼には相当ショックな指摘であり、今でも良い教訓になっていると言われる。

全く自分ではそのようなことを言った記憶はないが、振り返ると

全く正論である。そう!私は各班に順番に入っていき「各人と話をして、

その後名前と顔を確認して覚えたのであった」、そうすると性格特性まで

見えてくる。恥ずかしながら、今は最近会った人の名前すら出てこなくなって

しまったが。オフサイトミーティングやコーチングなど職場の活性化が叫ばれて

久しい。しかし彼の話から人材育成はテクニックだけではない、少しでも

現場に入り込んでメンバーに対しての関心を持ち、同じ目線で語り合い

ナビゲートして「気づかせる」事が一番重要なことであることを再確認した。

2009/07/05 06:23 |

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