人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2009年8月 2日

励ましの声かけ(ビジネスサプリメント378号)

人から声をかけられて心の中に奥深く残るのは「どん底」の時ではない

だろうか。私自身を振り返って見ると、順境の時より逆境の時に言われた

言葉が忘れられない。順境の時は「甘言」も多いだろうし、聴く側の

スタンスも疑わしいことが多いが逆境の時、人と言うものは離れていき

ますます孤独になるものである。

私が以前どん底の時にある人から「深刻になりすぎている、したがって

マイナスばかりを考えてはいないだろうか?真剣に考えよう、そうすれば

道は必ず拓けるから」と言われたことを思いだした。今でも心しているし、

忘れることはない。

ややメンタルヘルス的に問題があれば「励まし」は禁物であり「あるがままに、

なすがままに」が一番の言葉であることは言うまでもない。

ある企業様で個人ヒアリングの前に、その会社のトップの方から「Aさんは

最近凄く頑張っている、良く褒めてください」と伝言された。そしてAさんに

そのことを申し上げると「たまたま売り上げが良かったからです、そうで

なければまた叱責されます(笑)」と言われるではないか。

その方とお話しているとトップは結果のみで判断して、プロセスなど見て

おられないとのこと。声をかけて欲しいのは売り上げが順調な時ではなく、

不調な時であり「最近厳しいが、何か困っていることはないか?」と同じ

ような目線で声をかけて欲しいと言われる。成果主義の崩壊が叫ばれて

久しいが、そのプロセスの検証や励ましがあってこそ成果に結実するもの

ではないだろうか。調子の良い人よりも、不調で苦しんでいる人に声かけを

してみてはどうだろうか?声をかけられた人は「私のことに関心を持って

もらっている」と感じるものだし、その一言から大きな「気づき」が生まれる

ものなのだ。上司が声をかけにくいとか、この人はダメだと思った時から

部下はどん底に陥ることが多いのも現実である。今一度言うが「人間はどん底

の時に声かけされた言葉は心の糧となる」ことを忘れてはならない。

2009/08/02 06:55

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