人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2009年8月30日

評価の難しさ(ビジネスサプリメント382号)

虚妄の成果主義とか内側からみた成果主義の崩壊などが叫ばれて久しい。

本当に人の評価ほど難しいものはないと痛切に感じる。

元職場で人事担当の時に今まで非常に評価が低かった方が、上司の評価者が

変わった途端にトップの評価になっていたと言う事があった。

変わられた評価者にお伺いしたら、前任の評価者の見方と全く違う角度から

見ておられたのを記憶している。このように評価者の基準がバラバラでは

困るのである。いくら精緻で素晴らしい評価制度を構築しても、問題は

その運用次第と言っても言い過ぎではない。

「多面的に部下のことを見ているのか?」「部下を本当に育てようと言う

強い意思があるのか」が今多いに問われるのである。上司たるものは

「土砂降りの雨で車が故障した時に即座に駆けつけて修理してくれるJAFの

ような存在」でないと部下との信頼感は出て来ないものである。

ミッション・ビジョン・パッション(情熱)のない人は評価者にはなる

資格がない。思い込みや決め付けで接していると、部下もそのようになる

のである。

ある企業で上司の方とその部下の方との三者ヒアリングをした時、上司の

方が「自分で責任持って報告・連絡・相談してくれた仕事であれば、

例え失敗しても責めることはしないし、全責任は上司たる自分にある」

と宣言された。その時の部下の方のお顔を見ていると「安心したように

うなずいておられた」のが印象的だった。単に数字だけの結果や、

好き嫌いで評価していては成果には結びつかない。このような厳しい

世の中になっている現在、出来る時にタイムリーに人を活かすことしか

次の道はないのではないだろうか。

人間は「自分は誰かの役に立っている」「成長している実感がある」

「このままもっと頑張りたい」という気持ちを持った時に力を発揮するの

である。形式や制度はどのようなものであれ、その運用さえ間違えなければ

公平な評価につながるものだ。要は「制度に魂」を入れることに尽きる。

2009/08/30 07:04

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