人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2009年11月22日

実践知(ビジネスサプリメント394号)

ナレッジマネジメントの権威であられる野中郁次郎氏が最近の寄稿で「実践知」

なる言葉を使われていた。氏は「暗黙知」から「形式知」の理論で著名な方で

ある。「暗黙知」とは経験や勘に基づく知識であり言葉などで表現が難しいもの

とされ、それを文章やマニュアルなどで「形式知」化していく理論を確立された。

確かに従来の日本企業はコツやカンなどの「暗黙知」で組織内において代々受け

継がれていたし、またそれが日本の企業の強みでもあった。「俺の背中を見て覚

えろ!」なんて言葉もあった。でも時代の流れでそれを継承していくことが難しく

なってきて、明文化され共有化される「形式知」が生まれたのである。

しかし最近のように雇用形態が異なる組織内ではマニュアルだけでは解決できない

ことが多すぎる現実も出てきたのである。そこで「実践知」なる言葉が出て来た

のではないだろうか。筆者流に解釈すればこれからは現場で工夫し、模索した

現場の知、即ち「実践知」が求められることは間違いない。今求められるのは

失敗してもそこから生まれる無形の力=気づきの「知」が大切なのではない

だろうか。元職場で父の日セールを考えた時、もうネクタイ・甚平・ポロシャツ

では売れないと現場の方々が考え始めた。丁度その頃はお父さんの料理がブーム

になっていたので、お父さんの人体を作り、ネーム刺繍入りのエプロンをかぶせ、

包丁・まな板などをセットにして企画販売したのである。果たして売れるかどうか

全く分からないがチャレンジした、そうすると予測したよりも倍も売れたことを

思い出した。贈られたお父さんは大喜びで、父の日はお父さんがお料理をする、

家族はゆっくりと待つというような間逆な現象が起きたのである。

このように現場で実践した知が積み重なって成果に結びつく時代を迎えている。

その後の企画の参考となり、数々の成果に結びついたのはこの「実践知」の

賜物であった。

2009/11/22 08:07

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