人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2009年12月 6日

成果主義の運用(ビジネスサプリメント396号)

成果主義の導入後その弊害や内幕が暴露されてかまびすしい昨今である。

先日あるTVを見ていたら大企業で成果主義を導入したところは何と80%にも

及ぶらしいが、失敗だったと判断されたのは約70%もあるではないか。また

働く根源である「モラール」が著しく落ちたという現象が約80%もあると言う

数字が発表されていた。その中で成果主義の運用でかなり工夫されている企業

が紹介されていたが、「年功重視型」を選ぶのか、「成果重視型」を選ぶのかを

本人に選択させるのである。今までにあった「一般職型」「総合職型」とはまた

違う。家庭で子供さん達がまだまだ手がかかり時間をとりたいという方には

「年功重視型」を選ばせて定時に仕事を終える、しかしもうその必要がなくなれば

「成果重視型」に変えてバリバリと仕事をしていくというものであった。実際の

職場を存じ上げないので何ともコメントしがたいが、考え方は大変よく分かるし、

非常に合理的な運用ではないだろうか。企業である限り存在しなければ何の意味も

ないし、成果を追い求めていくことに異論は全くないが、問題はその運用に尽きる。

ある会社は「意識は行動を変える」という仮説を見直し「行動が意識を変える」に

した企業があった。そしてノルマ的な金額は全くなくし、金額ではなく「訪問回数」

を競わせたのである。そうすると「行動するためにはどのようにアクションを起こ

せば良いのかを真剣に考えるようになった」と述べられていた。出来ない理由を

列記しても何の意味もなさないが、出来るためには「どのようにすれば良いのか」

を考える癖を付けさせたのである。またある店頭販売のお店も「数字と言うノルマ」

をなくし「如何にリピーターを増やしていくか」に切り替えたのである。元職場でも

「あなたがいるからまた来たい」というようなキャッチコピーを作り「リピーター」

を増やす風土を作ったことが蘇ってきた。「やらされ感」からは成果が継続はしない、

「達成感」から真の成果が生まれるのである。成果主義の運用を間違ってはならない。

必ず個人の持っている「無形の力=気づき」を生かすような運用が今ほど求められて

いる時はない。

2009/12/06 10:02

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