人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2009年12月13日

カイゼンの前に人ありき(ビジネスサプリメント397号)

最近あるメーカーの品質管理大会の発表会に参加させていただいた。

大勢の方々から素晴らしいカイゼン案がどんどんと発表されたが、いずれの

発表者もイキイキされているのが印象的だった。基本は「おや、おかしいな」

が原点である。問題意識から気づきへつながりカイゼン活動になるのだ。

不良品を作らないことは品質管理の基本であり、最近は「ISO9001」の認証取得

が当たり前の時代になってきたが、完璧な作業基準がありそれを実践出来る

メンバーのスキルが求められるのは言うまでもない。ISOを取得して作業が増え

ますます職場が混乱してきたと言うようなことになっては何の意味もない。

仕事の管理活動は全て「人」が行っていることを忘れ、形だけを作って

「形作って魂入らず」になっては逆効果である。この発表会に参加して発表者の

「やらされ感」を全く感じなかったのは、カイゼン活動に携わる方々が熱意を

込めて取り組んでおられるからに他ならない。即ちミッションを十分理解され

「自分ごと」として捉えられて「達成感」が醸成されているのだ。またカイゼン

活動の結果が数値化され効果が明確になっていた。

以前在職したIT関連の中小企業支援会社の社是は「ITの前に人ありき」であった。

即ちIT機器の運用だけでは生産性が上がらないことが殆どであり、機器はあくま

でも補助ツールである。大切なことは働いている方々の「モチベーション」が

高くなければ何の意味もなさないというものだった。リストラが日常的に行われ

て社員の帰属意識が低い職場ではカイゼン活動や、ITの運用などでは成果が出ない

ものである。元職場でもPOSが導入されて即座に数字情報がキャッチされるが、

あくまで結果数字でありそれ以外のものは何も出てこない。この数字であれば

「どのようにすれば良いのか?」を考えるのはそこで働く人達なのだ。ギスギス

した職場からは知恵は出てこない。カイゼンは「無形の気づき」からであり、

全ての活動は「人」からを忘れてはならない。

2009/12/13 07:50

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