人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2010年2月 7日

掟の門(ビジネスサプリメント405号)

ワランツ・カフカの短編に「掟の門」という寓話があるが次のような内容である。

<田舎からある男が掟の門の前にやってきた、門は開かれていたがその門に門番が

立っている、男は入れてくれと言ったが「今はダメだ」と答えた、「後でなら、

入れてくれるのか」と門番に尋ねると「そんなに入りたければ入っても良いが先に

行けばもっと怖い門番がいるぞ」と言うではないか、そこで男は怖くて中に入れ

なかった、長い年月が経ってやがてその男の最後の時がきた、男は門番に向かって

最後の問いかけをした、「誰もが掟を求めているのにその門には誰もやってこな

かったがどうしてか」と言った、すると門番は「この門はお前一人のための門だっ

たのだ」と言って門が閉ざされた>という話である。

随分と示唆に富んだ話ではないか。要は自ら一歩を踏み出さないと前には進まない、

自分でしか道は切り拓けないと言うのだ。この話から今の混迷した世の中では次の

ようなことが言えるのではないだろうか。

まず指示待ちだけでは進歩がない、「何とかなるだろう」では問題は解決しない、

自らのアクションが無ければ道は拓けないということが言える。とかく原因ばかり

を挙げて躊躇していては前には進めない、前提条件を踏まえて如何に行動するかが

まさに問われているのではないだろうか。他責では何事も解決はしないものだ。

また問題の先送りは決して良い結果を生み出さないものである。今あらゆる組織で

問題の先送り事例が多いが、ますます解決が難しくなってくるのではないだろうか。

筆者の経験ではあるクレームの先送りをしたことがあったが、どんどんと問題が

大きくなり解決が難しくなったことを思い出した。適当なる「間」は必要かもしれ

ないが「逃げの間」は禁物である。そう!逃げてはだめで、逃げたら追っかけられ

るものだ、追っかければ道は拓かれると肝に銘じたい。

兵庫県但馬の偉人であり教育者であった東井義雄さんが言われた「夜が明けるから

陽が昇るのではない、陽が昇るから夜が明ける」という言葉を思い出した。

2010/02/07 09:12

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