拙著「団塊の転職」を上梓した時にタイトル名をつけるのに悩んだことがあった。
「団塊」とは堺屋太一氏が命名された言葉であるが、皆さん日本の高度成長を支え
てきたプライドと自負心がある。その世代が人括りにされることに抵抗感がある
ような気がしたものだった。ある人から「塊みたいに言って欲しくない」と言われ
たことを思い出した。そんな時に日経ビジネスに「団塊モンスター」なる特集が
掲載されており、その世代が定年を迎えた今、クレーマーとして増えてきたと
掲載されていた。時間が余っているのに趣味がない、そこで会社にコールセンター
があったことを思い出し内容を考えてクレーマーとなるようだ。例えば「御社の
経営方針に意見があるから社長室につないで欲しい」とか、ある日用品メーカーに
「カタカナの商品名では中身が何かすぐに分からない、中身が洗剤とすぐ分かる
ようにすべきだ」など製品とは直接関係のない意見も目立つとあった。
特徴としては
①自分は自分を客観視できると思っている
②自分の知識と経験を生かした改善提案を好む
③同世代が何を考えているのか気になる
ものらしい。団塊の世代は大人数の中で競争に勝ち抜き人や組織を動かしたので、
どうしても「上から目線」でものを言うことが多い。知人のお客様相談室の責任者
からも「確かに団塊の世代からのクレーム」が増え、一筋縄では納得させられない
と言う嘆きを聞いた。まだまだ元気なのである、誠にもったいない話ではないか、
その元気さを今の世の中でもっと良い意味で活かすことは出来ないだろうか。
周りの人間は部下ではなく、後輩や仲間なのである。そのことに気づいてイキイキと
活躍されている方も大勢おられる。
継続雇用で「技術の伝承役」として、あるいは「地域社会のボランティア」として
活躍する場面も多いはずである。それこそ自分を客観視して、自らの気づきを喚起
させ、あり余るエネルギーを活かしていって欲しいと感じる。
2010/02/28 08:19