冬季オリンピックも終了したが、今一つ盛り上がりにかけたような気もする。
その中にあって女子フィギュアスケートは華やかなものだった。キム・ヨナ選手と
浅田選手の一騎打ちは見応えがあったし、残念ながら浅田選手は銀メダルに終わっ
たが誠に素晴らしい見事なものだった。
私は学生時代に弓道をしていたが、その中で「残心(残身)」と言う言葉は私の
心の中に深く刻み込まれている。弓道教本によれば「残心(残身)」とは矢の離れた
後の姿勢であり、矢が離れたことによって射は完成されたのではないとある。
残されたものが、「残心(残身)」である。精神で言えば「残心」、形で言えば
「残身」となり「残心(残身)」の善し悪しによって射全体の判別が出来射手の
品位格調も反映する。一貫した射が立派に完成された時は「残心(残身)」も自然
立派であると解される。的中しなかった時の「残念なしぐさ」や「心が乱れてはなら
ない」のである。大相撲の土俵でのしぐさが批判を浴びたりするのも「相撲道」だか
らではないか。双葉山が70連勝を安芸の海に阻止された時「双葉未だ木鶏たりえず」
と言う言葉を残されたのを思い出した。木鶏とは何事にも動じない真の強さなので
ある。
話は飛んでしまったが、フィギュアスケートの最後の決めも皆さん失敗しても毅然と
した形で終わられている。フィギュアスケートもある意味「道」なのかもしれない。
キム・ヨナ選手も浅田選手もプレーの最後は素晴らしい心や形で終わっていたのが
非常に印象的だった。
しかし表彰式は別である。キム・ヨナ選手は涙を見せた、これは「嬉し涙」であった
ろうし美しいものだった。浅田選手も涙を見せた、しかし彼女の涙は「嬉し涙」なの
か「悔し涙」なのだったのか。「悔し涙」であったとしたら銀メダルまで獲得したの
にあの涙は、本当に凄いと思った。これからの浅田選手の更なる飛躍が期待出来る涙
であったように感じたし、これからもこの経験を大いに活かし世界最強の選手になって
もらいたいものだ。
2010/03/07 08:17