人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2010年3月 7日

表彰台に見る涙(ビジネスサプリメント409号)

冬季オリンピックも終了したが、今一つ盛り上がりにかけたような気もする。

その中にあって女子フィギュアスケートは華やかなものだった。キム・ヨナ選手と

浅田選手の一騎打ちは見応えがあったし、残念ながら浅田選手は銀メダルに終わっ

たが誠に素晴らしい見事なものだった。

私は学生時代に弓道をしていたが、その中で「残心(残身)」と言う言葉は私の

心の中に深く刻み込まれている。弓道教本によれば「残心(残身)」とは矢の離れた

後の姿勢であり、矢が離れたことによって射は完成されたのではないとある。

残されたものが、「残心(残身)」である。精神で言えば「残心」、形で言えば

「残身」となり「残心(残身)」の善し悪しによって射全体の判別が出来射手の

品位格調も反映する。一貫した射が立派に完成された時は「残心(残身)」も自然

立派であると解される。的中しなかった時の「残念なしぐさ」や「心が乱れてはなら

ない」のである。大相撲の土俵でのしぐさが批判を浴びたりするのも「相撲道」だか

らではないか。双葉山が70連勝を安芸の海に阻止された時「双葉未だ木鶏たりえず」

と言う言葉を残されたのを思い出した。木鶏とは何事にも動じない真の強さなので

ある。

話は飛んでしまったが、フィギュアスケートの最後の決めも皆さん失敗しても毅然と

した形で終わられている。フィギュアスケートもある意味「道」なのかもしれない。

キム・ヨナ選手も浅田選手もプレーの最後は素晴らしい心や形で終わっていたのが

非常に印象的だった。

しかし表彰式は別である。キム・ヨナ選手は涙を見せた、これは「嬉し涙」であった

ろうし美しいものだった。浅田選手も涙を見せた、しかし彼女の涙は「嬉し涙」なの

か「悔し涙」なのだったのか。「悔し涙」であったとしたら銀メダルまで獲得したの

にあの涙は、本当に凄いと思った。これからの浅田選手の更なる飛躍が期待出来る涙

であったように感じたし、これからもこの経験を大いに活かし世界最強の選手になって

もらいたいものだ。

2010/03/07 08:17

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