最近の不況下での小売業は、のきなみ価格競争が激しい。牛丼270円、ジーンズが
1000円以下とは信じられない。08年の百貨店の衣料品売上高は、10年前に比べて
25%も減り、スーパーは半分になったと言うではないか。以前ある新聞でやっては
いけない競争と題して「価格競争」「規模拡大」「品揃え競争」の3つが上げられて
いた。「価格競争」は元職でもやりすぎたし、不毛な競争だと痛感したことが
あったが、今またもっと凄い規模でなされている。ついに百貨店は構造不況業種に
なってしまい、バーゲンの先食いや、キャッシュバックなどなりふり構わずに行われ
ている。しかし消耗戦に過ぎないことは明らかな事実である。「規模拡大」はバブル
の時は勇ましいが、このような状況では自分の体力を無視した背伸び経営になり不況
に弱い体質を作ってしまうような気がしてならない。
都心の一等地百貨店の閉店もどんどん出てきているし、希望退職は何千人規模でなさ
れている現実は嘆かわしいものがある。規模を拡大する時は常に自己資本とのバラン
スを考えなければならないのは言うまでもない。「品揃え」は豊富なほど良くは見え
るが、無駄な在庫抱えてしまい資金繰りなどに大きな問題を残すのではないだろうか。
ある新聞には強い小売業は3つの法則がある、即ち「ついで買いを誘う」・「自ら
開発し自ら売る」・「大量に売り切る」ことが大事とあった。
バブルの時は「高くて良い商品」が爆発的に売れた、しかし今は「安くてよい商品」
が売れるのは良く分かる。しかし消費者目線の価格と価値との関係は価格よりは価値
がある、即ち価値>価格の時に「値ごろ感」が出てくるのである。今はそのことを
忘れているような気がする。消費者の声は「かっこいいモノはユニクロでもエルメス
でも構わない」のである。安易にやってはならない競争をしてはならない。
三浦展氏は日本人の消費者意識が「あれがいい」「これがいい」から「これでいい」
に変わりつつあると指摘されている。今の小売業は真に消費者目線に立てたところ
のみ生き残るのではないだろうか。
2010/04/11 09:07