人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2010年5月23日

目線(ビジネスサプリメント420号)

よく「現場目線」とか「消費者目線」などと言う言葉が使われるが、まさに相手の

立場に立って物事を見て良く考えることが大切なことは言うまでもない。

先日あるリーダーの方とヒアリングをしていた時に「私は可能な限り全ての現場に

入り込んでいきます、少しでも現場と一緒になって汗を流します、そうしないと

配下の人に納得してもらえる指示が出せないです」と言われた。現場を見ずして

上から目線で指示命令を出しても、当事者意識は芽生えず「やらされ感」が蔓延する

ものだ。ちなみにこの方の部下の方達はイキイキと仕事をされている。そうすると

日々の仕事も期待以上の成果が出てくるし、モチベーションも上がり主体的に考える

風土が出来るものである。

話は変わるが元職場でお手洗いの表示が分かりにくく、お問い合わせが多かったこと

があった。そこで掲示物の専門家がある場所にスマートな表示を付けたのである。

しかし相変わらずお問い合わせが多い状態が続いたので非常に困ったことがあった。

その時に「表示物を付けた人はお手洗いの場所を知っている」、知っている人の目線

と知らない人の目線は違うのではないかと言う仮説を立てて見た。そしてお手洗いの

場所をご存じないお客様がご覧になる表示物の高さを調査したのである。確か40

サンプルはあったと思う。はっきりしたことは「場所を知っている掲示物の専門家が

付けた位置は高すぎた」と言う結論になった。そこでその位置を随分と下げたところ

に付け替えると、お手洗いのお尋ねが殆どなくなったのである。ここで言えることは

我々が「目線」に立っているといっても、本当は全く違った目線で思い込んでいない

だろうか。それでは何らマッチングしないし、自己満足に終わってしまう。立って

いる小さな子供さんにお話をする時に、自分も立って話すのと、しゃがんで話すの

では子供さんの受け止め方が違うものだ。ことほど左様に簡単に「目線」と言う

言葉が使われているが、本当にマッチした目線なのかどうか見直すことが大切なの

ではないだろうか。

2010/05/23 09:56

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