厚生労働省の「自殺・うつ病対策プロジェクトチーム(PT)」は職場の定期
健康診断でうつ病など精神疾患をチェックするよう求める提言をまとめたようだ。
昨今仕事上のストレスが原因でこのような精神疾患にかかるケースが増えており、
いわゆるメタボなど生活習慣病などと同様に、職場での定期的なチェックを受ける
ことで、自殺や休職など深刻な症状になる前に食い止めようとするものだ。
同省は職場での定期健診の項目の見直しを含めて本年度内に労働安全衛生法の
改正も目指すらしい。うつ病などのチェックは同省が作成した「職業性ストレス
簡易調査票」などを利用することを検討、社員に調査票を配布して、例えば「職場
の雰囲気は友好的か」「上司に気軽に話が出来るか」など約60項目に回答して
診断すると言うものだ。確かにその必要性は大いにあると認めるが、果たして
調査票だけで診断出来るものだろうか。記入する人もチェック項目に正直に答える
かどうかも甚だ疑問でもある。それだけでは半歩進んだ状況であり、もう半歩は、
「職場が活性化」しているかどうかが重要なポイントではないだろうか。お互いに
周りに関心を持って仕事が進められているだろうか。周りの責任者や同僚が「自信
がなさそう、根気がなさそう、集中力がなさそう」な人に早期に気づいているだろ
うか。声をかけ相談相手になっているだろうか。内向き(自分の範疇しか目に入ら
ない風土)・上向き(部下や同僚の変化には気づかず、上司の言動ばかりに気を取
られていないだろうか)・箱文化(自分の仕事以外は全く関心がなく、箱の中に閉
じこもってはいないだろうか)の風土があれば、ますます心を蝕む人が増えてくる。
まずは明るいあいさつ(あかるく・いつも・さきに・つづけて)なされているだろ
うか。お互いに「気楽にまじめな話が行き交う職場」でこそ一番の防止策になるだろ
う。また万が一疾患の疑いが出ても「勤務時間の短縮や休職」、スムーズな「職場
復帰」が出来るような体制も必要である。心身共に健康で「明るい風通しの良い職
場」でこそ働く喜びが真に感じられるものだ。
2010/06/06 07:22